#3 わたしのサ終の思い出
SideMのプロデューサーたちが「小林さんでよかった」「小林さんに救われた」と言うのが何だかうらやましくて、わたしもそれほど愛せるコンテンツに出会えたらいいなと思っていた。
小林さんの出演作品が増えるたびに、わたしにとっての“それ”かもしれないと全力で情報を集めた。しかし、やっとの思いで辿り着いた“それ”は今、サ終どころか存在さえしていない。
2019年8月に発表された、次世代お笑いエンタメ企画。芸人さんが書いたネタを、動画ではキャラクターが披露して、イベントでは声優さんが演じる。
コンビごとにTwitterのアカウントが開設されていて、イベントの前説を担当したり、配信番組のゲストに呼ばれたりと、実在する若手芸人のように扱われていて。舞台の上でも、お渡し会でも、ずっとキャラクターとしてそこに居るのが印象的だった。
2020年2月に開催されるはずだった単独ライブは、新型コロナウイルスの影響で中止。先の見えない状況ではあったが、延期ではなく中止という判断がされたことが悔しかった。
そして、ある日を境に芸人たちのつぶやきは更新されなくなり、何の説明もないままやたら情報量の多い設定資料や芸人たちの今後が詳細に記された“未来日記”が公開された。会社のHPにあるキャラクターの一覧からも、いつの間にか存在が削除されていた。
もちろんコロナ禍で中止になったイベントは他にもあったし、知らないうちに消えてしまったコンテンツだってないことはない。しかし、誰もが名前を知っているほど大きな会社が、こんな扱いをするなんて信じられなかった。
行き場のない感情を抱えたファンたちは、芸人たちを生かすための方法を探った。公式に電話で問い合わせをした人もいれば、株主総会で手を挙げて意見した人もいた。Twitterではタグ企画が盛り上がり、WEBオンリーまで開催された。
2022年8月、待ちに待った公式からの投稿はコンテンツの終了を知らせるものだった。
お知らせが出たことが嬉しくて泣き、終わってしまうことが寂しくて泣き、小林さんのツイートを見てさらに泣いた。
それから亡霊のような気持ちで過ごしているうちに2年が経ち、COMIC CITY SPARK 19内でオンリーイベントが開催されることが決まった。自分なりに彼らが生きる世界を形にして、この感情が成仏できたらと考えている。
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