006-凪の鱗(3)
入ったときとおなじようにアルコールを噴霧されてから安曇と食堂を出る。身を守るためのあの霧をなるべく吸いこまないようにつけているのに、除菌のあとはアルコールのにおいのせいであたまのなかの一点が千枚通しで刺されるみたいにかんと痛くなり、その痛みは血流にのってじわじわと全身に分散していく。この日々がはじまってからいつでも酔っぱらっているような心地だった。
「こっちは陽が暮れるまで図書館にいるけど、あんたは?」
ここから先は
2,422字
/
1画像
シメージとはなにか、わたしにもわかりません。わからないけれども書かないといけないようなもののような気がしているなにか、です。今回のシメージは2020年8月に使い捨てカメラで撮った写真に小説・エッセイ・短歌などなにかしらのことばを添えた作品集とします。
シメージ:ある夏の印象
500円
ぶきような作品集。毎月15日・25日に更新します。 ※『nice meeting you』冊子版の購入特典と同内容です。冊子版をご購入さ…
期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?