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011-凪の鱗(5)
黒ずくめの安曇と向かいあって座り、紙をラミネートして左上をリングで留めているだけの簡易でべとべととしたメニューの文字をひとつずつ読んでいく。麻婆豆腐、青椒肉絲、回鍋肉、坦々麺……ちら、と目をあげて安曇の表情をうかがうと、視線はメニューに落とされているもののそれだけで、なにも見ようとしていないらしかった。構わずメニューを読みつづける。餃子、水餃子、焼売、小籠包……わたしだって、文字の読みかたを反芻しているだけでほんとうはなにも見えていやしない。死にたいかもしれない、なんて終末にむかっていくこの世界じゅうのひとびとが抱いている感情であって、安曇だけの感情ではない。それぞれの国の、それぞれのことばで考えて、愛を告げるためにあるのとおなじ数だけの死をおもうためのことばがあるのだった。
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シメージとはなにか、わたしにもわかりません。わからないけれども書かないといけないようなもののような気がしているなにか、です。今回のシメージは2020年8月に使い捨てカメラで撮った写真に小説・エッセイ・短歌などなにかしらのことばを添えた作品集とします。
シメージ:ある夏の印象
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ぶきような作品集。毎月15日・25日に更新します。 ※『nice meeting you』冊子版の購入特典と同内容です。冊子版をご購入さ…
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