009-越冬の儀式
二月二十二日はとても暖かくて、お昼休憩に外で読書をしようと日向に出たら陽射しがきつすぎて木陰に引きこもった。三か月後に結婚式を控えているから不用意に日焼けはできない。またSPF50の日焼け止めを塗る日々がはじまるのかと、あしたには気温がうんと下がると知りつつもぼやぼやと考えていた。そうしているあいだに、だったのかは定かではないけれど、ほんの一瞬、春をも越えて訪れた初夏に触れて満足でもしてしまったかのように夫の祖母が亡くなった。会ったことはない。わたしが知っているのは彼女の鼾だけだ。
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シメージとはなにか、わたしにもわかりません。わからないけれども書かないといけないようなもののような気がしているなにか、です。今回のシメージは2020年8月に使い捨てカメラで撮った写真に小説・エッセイ・短歌などなにかしらのことばを添えた作品集とします。
シメージ:ある夏の印象
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ぶきような作品集。毎月15日・25日に更新します。 ※『nice meeting you』冊子版の購入特典と同内容です。冊子版をご購入さ…
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