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002-凪の鱗(1)
朝目がさめると、人間に戻れたような気がして安心する。
裸身に擦れるシーツに籠った平熱以上の温度に辟易としつつ寝返りを打てば、隣には戦争を終えて横たえられた銃身のように眠る男の穏やかでない寝顔があり、北斗七星のようなほくろのついた首があり、胸板があって、守れないものが洪水のように押し寄せてくる性を用意した神々の意地のわるさを呪いたくなる。
衣擦れの音をたてないように、そっとそっとベッドを抜けだしたつもりが、男の眠りは浅かったようで唸り声をあげる。男の眼とわたしの眼が、愛するよりもおぞましく、汚すという語に任せるには足らない熱量で、ばちりと合い、男の手がわたしの手に伸ばされる。
「待って」
「待たない。これから授業」
「ごめんって。もう嫌がることはしないから」
「どうだか」
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シメージとはなにか、わたしにもわかりません。わからないけれども書かないといけないようなもののような気がしているなにか、です。今回のシメージは2020年8月に使い捨てカメラで撮った写真に小説・エッセイ・短歌などなにかしらのことばを添えた作品集とします。
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