[Switch] Spiritfarer感想メモ🚢

2024年1月26日 16:35

どんなゲーム？

まずは動画を観ましょう↓

あとはSteamにあるティザー動画も観ると雰囲気が掴めます↓

(動画だと読み方は"スピリットファラー"が正しそうだけどゲーム内の日本語では"スピリットフェアラー"になっているので以降の記載も同様にします)

"スピリットフェアラー"となった主人公ステラが、世界に点在する魂を自分の船に迎え入れ、生前の記憶と今の願いを聞き入れながら最終的に死後の世界に送り届ける、「死・離別」をテーマにしたゲーム。

と書くとゲーム自体はのんびりしていると思うかもしれないし動画を観てもそう思うところはあるけど、実際には船で各地に素材を集めにいく・船で作物を育てる・素材の加工や調理をする・船の住民となった魂達にお腹が空いたら食事をあげたりハグをして気分を安らげる・加工した素材で船を改良する、とやることがいっぱい。

ゲームとしてはどうぶつの森みたいな箱庭マネジメント↔出向いた先での素材収集や交流などのアクションを繰り返す。
船で行けるところが増えたり2段ジャンプや滑空などステラ自身の能力が拡張されて以前出向いた先で行けなかったところが行けるようになったりと、いわゆるメトロイドヴァニア的な側面もある。

また時間の概念があり、期限があるイベントはないけど何をしていても時間が進むため、やることの多さと時間の概念から感覚的に忙しく感じるかもしれない。
魂達には機嫌というパラメータがあり、これを保持しようと思うと忙しくなりがち。
ただゲームの進行上はたぶん最低のままでも問題なさそうなので、機嫌を最高潮に保とうとしなければ自分のさじ加減でのんびりプレイも忙しくプレイもできるはず。

こんな人におすすめ

マネジメントパートはやることは多いけどシンプルだったり、アクションパートも難易度は易しめなので、ゲーム性を求める人にはあまり向かない気がする。
グラフィック・BGM・キャラクターが好みで、あまり多くを語らないシナリオから自分で考えるのが好きな人には向いているかも。動画の雰囲気やテーマが刺さりそうならぜひ。

プレイ状況

Switchでプレイ
プレイ時間約22h

ネタバレなしの感想 - シナリオ関連

魂とのやり取り

魂は船に複数迎えられるため、4-5人とかになってくるとあちこちでお願いを聞いたりお腹が空いてきたって言われたりするので、律儀に対応しているとてんやわんやしがち。
お腹が空いている時は皮肉っぽく言ってくる住民もいたりそもそもの態度が良くない住民もいてこの野郎…となる時もあるんだけど、お別れの時にはやっぱり切ないというかしんみりしちゃう。魂それぞれのキャラクター性が良い。

魂とのハグ

ゲーム的にはハグすることで機嫌を上げられるが、このハグのモーションが三者三様で癒やされる。
皆良いけどお気に入りはアトゥルおじさんとアストリッド。

インタラクト

魂とお話したり畑に水をやったり、そういった決定ボタンで行なう動作を一方的なやり取りではなく相互に影響し合う「インタラクト」と呼称するのがゲームにも合っていてなんだか良い。

プレイスタイルとゲーム性の「インタラクト」

これは他の方の感想を読んでなるほどと思った部分で、例えば魂には好きな食事と嫌いな食事があるので好きな食事をたくさん作ってあげたりするけど、お別れした後はその食事を作る必要がなくなり、そこで住民に対する喪失感が生じるなど、対話的な要素を持つゲームであるが故に個々のプレイヤーで得られる体験がある。

シナリオ

綺麗に幕を引くシナリオではないので、語ることは語った！終わり！みたいに明確な終わりを迎えるシナリオが好きな人には向かない。
スタッフロールを眺めながら歩んできた旅路を回顧し、ここまで向き合ってきた魂との別れとこれから現実で向き合う死へ思いを馳せながらED曲を聴く、そんな余韻が残るタイプのゲーム。

人間関係や背景は会話から察していかないといけないゲームなので、ゲーム内で語られていない？設定が山盛りのアートブック(設定資料集)の内容はゲーム内に入れておいてほしかったという気持ちはある。

BGM

良い。
ゲーム中も良いBGMだな〜と感じるけど、ゲームを一段落した後にサントラを聴くと沁みる。
アルバムを1ページずつめくっていくような、そんな感覚になる。

サントラはSteamで買えるけど、Spotifyにもあります。
一部タイトルにネタバレを含むので試しに聴いてみようって方は注意。

ネタバレなしの感想 - システム関連

時間の経過

会話中も常に時間が経過する。
長尺な会話の時もあり、ゲーム上会話はしっかり読んでいきたいんだけどこのあとあの島に素材取りに行こうと思ってた！！みたいな時は誘惑に負けて流し読みしちゃう時もあったので、せめてオプションで会話時の時間経過のON/OFFがあるとよかった。

会話以外だと、素材の加工などは効率化出来るのでそこで徐々に時間に余裕が出てくる印象はある。

猫モフ

猫のダフォディルが後ろからついてくる。
モフることも可能。かわいい。
だけど扉を開けようとしてモフったり、誤モフしがちなところがあった。モフっている間も時間は進む。

UI

このゲームも含めて直近プレイした海外のゲーム、例えばアイテムで一覧の最後までいったら最初に戻るみたいな無限スクロールが出来なくて不便なんですが！！

エラーで落ちる

Switchでプレイしたからか、たまに処理落ちするような挙動になる。
1度だけエラーで落ちたことがあったので、他の高スペックハードを持っている人はそっちでプレイしたほうがよいかも。
エリアに出入りするたびにオートセーブはされているようなので、エラーで落ちても大きな出戻りの心配はないはず。

ネタバレまでの切り取り線

この後はネタバレエリアなのでお気をつけください。
直後から作品の核心に触れていますので、読みたくない方は↓の目次からまとめに飛びましょう。

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ネタバレありの感想

ゲーム外の情報(fandomなど)含む。

主人公ステラは緩和ケアの看護の仕事をしていた。
ステラは現実世界では病に伏しており、命の灯が消える寸前。
終盤で自分の置かれている状況を自覚し、自らの意思で死後の世界への扉=エバードアをくぐる。
Spiritfarerの世界は主人公の死の際の走馬灯であり、魂とはこれまでステラが出逢い送ってきた人達(例外あり)の記憶である。
魂の導き手であるステラもまた魂の乗客=スピリットフェアラーであり、Spiritfarerとは他者との離別と自己との離別を体験するゲームである。

乗客を見送ってきたステラも最後は1人(と猫)でエバードアに向かうが、現実世界では妹と母親が寄り添ってくれている。
送る側と送られる側が入れ替わり、連綿とした人の営みの繋がりにぐっとくるのと同時に、願いが届かず先に逝ってしまう姉と残された家族という切なさも押し寄せる。

最初にカロンというキャラが出てきてステラにスピリットフェアラーの役割を引き継ぐけど、ギリシア神話に登場する冥界(めいかい)の川の渡し守がカロンという名前。
ステラの背景を考えるとこの時点で感づく人も多そう。

エバードアへ向かう道中はまさに三途の川で、海が舞台なのは海は生命の源であることから、生命は海から生まれ海へ還るということなのかもしれない。

魂はお別れすると宙に還り星座となり、船に戻ると乗客の部屋に美しい魂の花が咲く。
その魂の花を素材に船を改良し、これまで行けなかったところへ行けるようになる。
序盤、改良素材に魂の花と記載があるけど一向に手に入らずどうしたら手に入るもんかなと思っていたところに、最初の住民であるグウェンがエバードアに向かう道のりでハッとなってまさか…と思ったらそのまさかであった。
魂の花への言及は特にないが、これに気づいた時は結構な衝撃だった。
また星となった後、夜に空を見るとちゃんとそこに皆がいる。触れ合えなくとも見守られている。
人は死んだら星になるという考え方、すき。

魂の生前の経験には自殺未遂・失踪・物忘れの激化などがあり、魂の在り方にもそれが反映される。
特に物忘れの魂は台詞からもそれが感じられ、イライラしてしまうところもあるかもしれない。
でも現実に介護とかやっている人もそのような感情になるのかな、と思うと急にリアリティが出てくる。

ゲームの性質上、プレイしていると「メメント・モリ」が思い浮かぶ。ただあるキャラクターのモットーは「カルペディエム」であるし、プレイ中ずっと悲壮感があるわけでもなく、むしろどこか暖かさを感じる場面も多い。
普段は忌避しがち・されがちな「死」を良い意味で身近に感じられる。

プレイ中はなんだこいつムカつくな…と感じても、クリア後に各種情報を調べるとキャラクターへの印象も変わるかも。
以下の記事はfandomを引用しているけど、その情報元はアートブックらしいのでクリア後に読むと理解が深まり考察が捗る。

まとめ

終活に向けての心構えのために死に関する哲学書でも読もうかなと思ったら先にSpiritfarerをやりましょう。
¥3,000くらいだけどちょくちょくセールをやっているので値下げの時が狙い時。