2024年新刊・特集紹介② KEX2023特集&自由論考その他
こんにちは、懶いです。今回は新刊の内容紹介第2段。早速行ってみましょう。
KEX2023特集――「まぜまぜ」をほどく
特集の3つ目はKEXがテーマです。KYOTO EXPERIMENT(京都国際舞台芸術祭)は、京都で例年行われている国際舞台芸術祭。毎年ホットで最先端の劇団やダンスグループが来日し、期間中は様々なプログラムが行われます。2023年は「言語のあり方が変遷していくことや混交すること、個人のアイデンティティが常に変化し他者の影響が混じることなど、さまざまな「まぜまぜ」で複数性や流動性を思考の軸にしながらいまを捉えなおす」というテーマが掲げられていました。それぞれの作品において、また演劇祭全体で、なにがどのように「まぜまぜ」されていたのでしょうか。座談会とレビュー2本を掲載します。
これ観た!あれ観た? KYOTO EXPERIMENT2023座談会
シラカワ、中西、懶い、よるの木木の4人で行ったKEX感想座談会。身体、モノ、言葉、関係性、リズムといった切り口から、演劇祭を横断的に話し合いました。バック・トゥ・バック・シアター「影の獲物になる狩人」、ウィチャヤ・アータマート/For What Theatre「ジャグル&ハイド(演出家を探すなんだかわからない7つのモノたち」、デイナ・ミシェル「MIKE」、アリス・リポル/Cia. REC「Lavagem(洗浄)」、ルース・チャイルズ&ルシンダ・チャイルズ「ルシンダ・チャイルズ1970年代初期作品集:Calico Mingling, Katema, Reclining Rondo, Particular Reel」の5作品を話題にしています。
シラカワタイヨウ「私たちの身体的な語彙」
ルース・チャイルズ&ルシンダ・チャイルズのレビューです。複数のダンサーの規則的な動きが同期し繰り返される演目です。シラカワはそのダンスを、互いの身体が動きによって触発し合う様から読み解きます。見る者に読み解けないそのサインは、鑑賞者をどのように変化させていくのでしょうか。
中島亮二「二重断面のズレとブレた視界」
バック・トゥ・バック・シアター「影の獲物になる狩人」のレビューです。ステージと観客席を分ける切断面に注目し、劇中で説明されることのない黄色いテープの謎に迫ります。
自由論考
特集テーマとは関わらない、メンバー各自の問題意識に基づく評論は見どころ満載! こちらのキーワードからも関心を持っていただけると嬉しいです。
羽渕徹「からだを文・節化する」
オフィスマウンテンによるパフォーマンス、『能を捨てよ体で生きる 』の評論です。そこで起こった息をつく暇もない演技を分解し、身体と言葉からなる舞台を読み解きます。
吉田理紗「宝塚歌劇 星組公演『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』公演評」
並木陽作「斜陽の国のルスダン」を原作とする、宝塚歌劇の『ディミトリ』を評する吉田は、宝塚歌劇において主演の男役の「相手」とみなされがちな娘役が、この演目で丁寧に描かれていることに注目します。
神田恵理「『テニスの王子様』を分析する——マンガで表現される境界線と視線」
漫画特有の表現といえば、コマ割りから吹き出しから集中線から各種の漫符まで広くありますが、あまり意識されていないかもしれません。神田は『テニスの王子様』を、そうしたテクニックを通じて、視線のやり取りという軸で物語を読み解きます。
『テニスの王子様』分析を連載しているかんだのnoteはこちら
足利大輔「DJ行為試論」
自身がDJでもある足利は、沖野修也の『DJ 選曲術』と田中フミヤの『Via』という2つのDJ論を参照しながら、ナイトクラブという空間におけるDJの行為、観客との相互作用を論じます。
懶い「『ケイコ 目を澄ませて』考」
耳が聞こえないプロボクサー、ケイコを主人公とした三宅唱の映画を考えます。この映画が感動的なのは、ボクシングのストーリーと映画の文法であるイマジナリーラインを究極に統一しているからなのです。
創作
さらに、今回は創作も掲載!
中西みみず「菜食生活十年」
短編小説。菜食をする「僕」の物語は、自炊とハンバーグづくりから始まります。食事とルームシェア。食べることは孤独に行われるだけではないけれど、それぞれが同じ気持ちで同じものを食べられるわけではないことを感じます。
さらに、菜食や肉食に関するブックガイドも付しました。
『5,17,32,93,203,204』2024年号は、1月14日の京都文学フリマ8で初頒布を行います。みやこめっせで11時から16時まで。是非遊びに来てください。
既刊、新刊のほか、メンバーの制作物なども販売する予定です!