パン屋のおまけ
通勤の電車の中で時間を確認しようとしたとき、腕時計を着け忘れてきたのに気付いた。
そういえば今日は『時間をはずした日』だった。そうか、時間というものに縛られないようにと、カミサマか何か大いなるもののお計らいなのかもしれない(たんにうっかりしていただけとも言う)。
時間をはずした日が何かというと、古代マヤ文明で使用されていたマヤの暦において1年の割りふりを28日周期の13か月とし、その計算でいくと364日となる。太陽の周期である365日とは1日のずれが生じ、この1日を整合するためにこの日を『時間をはずした日』と呼び、それはグレゴリオ暦でいうところの7月25日にあたる。
ほんとうならこんな日には、仕事なんてしないで浜辺にビーチパラソルでも広げ、本を手にのんびりと過ごしたいものだけれども、まあ人生というものはなかなか思い通りにはいかないものである。
現代は腕時計を着け忘れちゃっても、あらゆる場所で時間を意識させられてしまうし、今日のところはごく普通の1日、時間の支配からは逃れられなかったということになる。
タイトルの「パン屋のおまけ」というのは、正式にはBaker's dozenといって主にイギリスにおける慣用句らしい。私は何かの本を読んでいるときに、13という数字をあらわす場合の言い回しのひとつというので「パン屋のおまけ」のほうを記憶している。
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この日を出生日に持つ人が身近にいる。つまり今日お誕生日を迎えたのである。太陽はオウンサインでごきげん、マヤの暦においてはどの月にも属さず、曜日の概念もなく、すべてにおいて自由という、たいへんおおらかなイメージが浮かび、それはその日がお誕生日のあの人が、そういったエネルギーを伴ってこの世界にやってきたのだとほとんど確信できるほど、ぴったりな日だとおもった。
これを書いていて思い出したけれど、聖ヤコブのName dayでもあるのだった。洗礼名を持つ人たちが聖人の祝日を祝う習慣があるということを、今の仕事に関わってから初めて知った。
すごく暑かったけれど、いいお天気だった。お誕生日おめでとうございます。