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孤高のポストマン

 こんど離島での仕事に就いてもらう予定の人に、業務上における要りようのものなどを送る準備をしていた(やれやれ)。毎月郵送してもらう必要のある書類があって、それの重量というのが、どうも郵便料金の境目にあたり不明確である。離島であるから毎度郵便局の窓口を利用してもらうにも時間がかかってしまい、それはこちらの都合的によろしくない。それで、重量をはかるためのスケールを同梱しようとおもった。自分のデスクの抽斗に入っているスケールが浮かんだ。

 事務所にはデジタルスケールがあるんだけれど、私はひとり離れたスペースにデスクを持っているため、共有のそれを毎回使うのに移動するのが面倒で、ふだんは簡易スケールを利用している。しょっちゅう郵便を出すというのでもないし、そんなにヘビーなものがあるわけでもないため、だいたいの用はこれで賄える。だから自分の手持ちのがなくなるのも不便とおもい、とりいそぎ手元のを送って、同じものを注文しようと検索をかけた。

 商品は丸善文房具店(たぶん)が出している『ポストマン100』というものなんだけれど、これは前職の事務所でも使っていたしメジャーな文房具のひとつだとおもっていた。
 ところが「丸善 ポストマン100」で検索をかけたら、どうも終売のようで、どこも販売終了だったり、中古の高値がついていて驚いてしまった。

 この秤はすごくシンプルな構造で、写真でいうと右側にぶら下がっているクリップに郵便物を挟み、ホルダー及びリングになっている部分に指をかけてぶら下げると、ポストマンのジャケットの袷の矢印にその重量が示されることになっている。小型で邪魔にならないし、デザインもいい。手に入れるのがむずかしいなんて知らなかったけれど、急に執着のようなものが湧いてきた。これまでぞんざいに扱っていたことを反省し(抽斗のペン入れに無造作に放り込んでいた)、そっとなでた。と、いうのはうそだけれど、まあ、これまでと見る目が変わったというわけ。
 ポストマンはうす暗い抽斗のなかで、微笑みを浮かべじっと孤高を保ち続けているのである。見習いたい。

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 私のポストマンはスケールのところが赤色であるけれど、インターネットの情報によると全部で4色ある(あった)らしい。ブルー、グリーン、ホワイト、そしてレッド。他のラインナップを見て、ぜんぷ欲しくなってしまった。
 正確に量れるのはもちろんデジタルだろうけれど、こういう文房具が世の中からなくなってしまうのはちょっとさみしいですね。

 そういうわけで、離島に送るのはやめました。代替品を探さなくっちゃ。

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 スケールということで、もうひとつ載せておこう。これは高校生のときに私のもとにやってきた、シンワ測定株式会社製の三角スケールである。学生時代を経て、一時期は仕事でも持ち歩き重宝していた時期もあったのに、今はもう日常的には出番がなく、お茶をひいていて不憫である。そういうわけでせめてこのnoteに残しておこうとおもった次第。
 高校を出てから幾度となく住まいを変えてきたけれど、まだ手元にあるってけっこうすごいことである(私にとっては)。

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 ところでトップ画像に使用したポストのイラストレーションだけど、こういうタイプの郵便ポストをよくアメリカの映像作品で見かける。ポストの脇についているフラッグを立てて「郵便が入っていますよ」と知らせるんですよね。一目でわかるようになっていて、見るたびになんだかちょっといいなとおもう。

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今日の「落し物」:道路にトイレブラシが落ちていた。あるいはゾウの歯ブラシだったかもしれないけれど。


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