おかあさんにクッキーをあげよう

　ちょっと前に、近所にLOFTができた。スペースとしてはよそに比べて小さいけれど、いちおうLOFTである。

　できて以来、近所だからどうしても昼休みや業務の途中などでそばを通りがかると、素通りできずにちょっとのぞいてしまう。何か見つけて購入したり、パトロールだけで店を出ることもある。

　何日か前にもそんなことをして、目にとまったのは文庫本くらいの箱だった。何か見覚えがある、そうおもって近づいたら、西光亭のクッキーの小箱と知れた。
　クッキーの小箱が置いてあったブースをちゃんとみてみると、どうやら母の日用に設えられたもので、他にいくつかギフトっぽい包装や小物が並べられている。ああ、母の日ってなんかそんなのあったな、とおもった。

　私はあまのじゃくの傾向があるから、母の日というのもどこの誰だか知らない人が決めたものだしあまり気に入らない。だから毎年だいたい自分のこととは関係のないこととして過ごしているのだけれど、ここのクッキーがこんな地方で手に入れられるというのと、さいきん母に会っていないなとおもってふたつ買ってきた。

　私は私の母がわりと好きだし、けっこう尊敬もしているのであるけれど、だからこそというか母をおもう日は自分なりに決めている。
　ちょっと前は兄の誕生日だった。兄は初子であるから兄の誕生日はすなわちウチの母が初めて「おかあさん」になった日である。特に何か贈り物をすることはないけれど、この日に母にメッセージを送るなどすると、わりによろこんでくれる。きっと母にとって、人生における大事な日のひとつなんだとおもう。今年もにこっとした絵文字つきでありがとうと返事がきた。

　西光亭のくるみのクッキーは気にいるだろうか。ふたつ買ったうち、「おかあさんありがとう」と書いてあるほうをこんど母に渡しに行こうとおもっている。

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今日の「落とし物」：銀行からの帰り道、歩道の目の先にリスみたいなものが見えました。近づいてみると、リスであるはずはなく、クマのぬいぐるみでした。仰向けなのがとてもかなしげですね。