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子ども時代からの本を詰める棚

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これまで読んできて特に好きなもの、印象に残っている本を詰める本棚です。読み終えたものを詰めることも。
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2022年6月の記事一覧

アーノルド・ローベルのしごと

 アーノルド・ローベルの企画展示が長崎県美術館で観られるというので行ってきた。電車の吊り広告か何かで目にしたのだっけ。  『かえるくんとがまくん』のシリーズがよく知られる絵本作家で、子どものころに読んだ、ときどきふと思い出す好きな作家のひとりだ。いくつか絵本を所有してもいたけれど、何度も引越すうちにある時点で書籍類を大幅に減らした。そのときにこのひとの絵本も手放してしまっていた。 *  代表作のいくつかの他にも、たくさんの作品を手掛けた彼の展示は見ごたえがあった。絵本に

【私と本】泥の中から咲く蓮の花はうつくしい

 何を探しているときだったか忘れたけれど、スタン・ゲッツの伝記を見つけて手に取った。ドナルド・L・マギンという人が書いていて、翻訳は村上春樹氏だった。  二十二の章からなる、訳者あとがきまで含めると570ページを超える大物で、かなり読みごたえがある。スタン・ゲッツという人の演奏を、ほんのいくらかは耳にしたことがあるといっても、ほとんど知らない(というかジャズのことだってほとんど知らない)。読み進めるごとに胸が締めつけられ、その音楽の持つ底力に圧倒されるおもいがしてくる本だった