居場所
制服のスカートを揺らしていたあの頃、
髪を染めて、夜の街へよく飛び出していた。
あの頃の私にとって夜という時間は、
生きている実感が出来る特別な場所だった。
空気が澄んでいて、誰にも邪魔されない場所。
この世に私だけしか存在していないように思えた。
そんな夜がすきだった。
この頃、よく東京へ遊びに行っていたけど
新宿で過ごす夜はもっとすきだった。
田舎に比べて賑やかで明るい都会の夜は、
ビー玉越しに見る世界のようできらきらしていた。
しばらくすると、夜が明けて朝の空気へと変わる。
朝早く起きないと体験出来ない “早朝の匂い”
これもたまらなくすきだった。
とくに夏の朝は、特別いい匂いといい音がする。
それらを堪能したあとで、
始発のバスや電車で元いた場所へ帰る。
そして眠るのだ。
太陽が私の居場所を飲み込んでしまう前に、
夢の中へと逃げ込む。
誰にも邪魔をされない特別な場所。