しろっぷ

とある大学でフランス語、フランス語圏文化を学ぶ大学生🇫🇷 自分が気に入った本や著者さまの読書記録や映画の感想などをのこしてゆきます⸜( ・ᴗ・ )⸝

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最近の記事

今あの人に会えたなら「会えてよかった、って言うと思う。」

✎﹏ 
読書記録 2024年3月 「どうしようもなくさみしい夜に」/千加野あい 書かれた悲痛はリアルすぎるし、一方で希望は超現実のような。夢かうつつかわからなくなるような、風俗嬢にまつわる話。 いつか消えるとは知りながらもただそれに縋って、諦めながらもその何かを抱きしめているときのその隙間の生きづらさや、逆に、生きてて良いんだって思える感覚が、文字を通り越して心にじんわりと沁みた一冊。 内容的には、自分は経験したことがないからわからなかったけれど、行き過ぎたストーカー被害な

    • やるせなさと立ち向かえる

      ✎﹏ 
読書記録 2024年3月 「水やりはいつも深夜だけど」/窪美澄 窪美澄さんに惹かれて、すぐ2冊目📚 こちらは短編集なんだけど、それでもやはり短編でも衰えることない窪美澄ワールドって感じだったな。 とくに「砂のないテラリウム」での、夫婦関係が拗れた感じとそのやるせなさがじんわりと、でも的確に急所に棘が突き刺さってくる感覚。前に読んだばかりの「よるのふくらみ」に似ていた。 タイトルも「水やり」というワードがあるんだけど、短編のタイトルも全部植物やガーデニングの言葉が使

      • あたたかさのなかに滲み出る狂気と狂気を孕んだあたたかさが共存しているせかい

        ✎﹏ 読書記録 2024年2月 「とわの庭」/小川糸 自分がいま見ているものは「確か」なものなのか、それとも視覚以外で受け取ったものが「確か」なものなのか、そもそも「感覚」とか「確か/不確か」って何なんだろう、というのをキーワードに読みすすめる。 主人公は盲目で、一般的な社会で存在する時の流れがわからない。自分の誕生日すらも、自分が何歳なのかもわからない。ただ、毎朝の鳥の歌声ととある人物の毎週の訪問だけがよすがになり、そのときだけは社会性のある時という概念に接することがで

        • 行為への愛しさと怖さ

          ✎﹏ 読書記録 2024年2月 「よるのふくらみ」/窪美澄 「セックス=非言語的コミュニケーション」だと思ってる私がこれを読んだら、「もし、恋人とのセックスがなくなってしまったら…」って読みながら何度も何度も考えた。 穴モテ暗黒時代からの今ひとりの人を大事にして大事に思ってもらえて、という経験があるゆえに、みひろの気持ちも彼女のおかあさんの気持ちも共感できてしまうことが多々あったな。 この経験があってこそ気づけたことに、あそばれてた頃はやっぱり甘い言葉にのらりくらり流され

          舞台「ジャンヌ・ダルク」

          ✎𓂃   舞台「ジャンヌ・ダルク」 ジェンダー論ともとれるし、愛国心や家族の絆、宮廷での渦巻く葛藤… ぜんぶひと作品に纏めたような、 でも解釈はこちら側に託してるという意味で全部を語らない、そんな作品だった。 休憩終わりの後半では、 世界史の授業で学ばなかった展開で、 (シャルルとジャンヌが兄妹だった→兄は、神の声が聞こえなくなりその代わりに戦争で亡くなった人の声が聞こるようになってしまい戦争の責任を自らとろうとする妹のジャンヌを助けたいが、妹は結局自死を選ぶというシナリ

          舞台「ジャンヌ・ダルク」

          自分の投影

          ✎﹏ 読書記録 2023年4月 「いまは、空しか見えない」/白尾悠 登場人物が背負っている問題が重すぎるうえに 自分に重ねても読めないことはない、みたいな 意外とこの問題を抱えている人は少なく無いのかも、みたいなストーリーだったから傷に塩塗りたくりながら読んだんだけど、主人公が新しい視点でものを考えたときやそれを行動に移したときに 反動で、自分のことのように嬉しく思ったり、 またそばで支える友人のように心が突き動かされたしパワーを貰えた🔥 短編集だけど共通してある1人の女

          防衛本能

          ✎﹏ 読書記録 2023年3月 「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」/大前粟生 やさしすぎるが故の自己犠牲みたいなものがはっきり見えてしまって、心を自ら抉るような気持ちで読んだ。 それゆえ文章量自体は少ないけど、読み終わるまで道のり長かった〜という感じ。 ぬいぐるみや水や、別の人格に話しかける、会話する、知らない人から見たら虚空に話しかけているのだけど、確かにそこに なにか 存在していて、その存在が寄り添うような意見をもたらすこともあれば全く正反対の意見が返ることもあって

          自分の持っている関係性を見直した

          ✎﹏ 読書記録 2022年12月 「桜のような僕の恋人」/ 宇山佳佑 話題になっていたから、っていう安易な理由で手に取ったからあらすじを全く知らなかったのに、読了したら「この本を読んで良かった」と心から思えた本でした。 自分がもしこの病気になったら、自分が恋人を置いて逝かなきゃいけない状況に置かれたら、何か遺せるのかな とか逆に もし恋人がこの病気を患って苦しんでいたら自分が助けになれるのかな、とか主人公が写真家という効果もあって、より状況や感情に入り込んでのめり込むように

          自分の持っている関係性を見直した

          好きって表現の豊かさ 

          ✎﹏ 読書記録 2022年12月 「明け方の若者たち」/カツセマサヒコ ずっと読みたかった1冊 唐突に出会ったひとにこんなに惹かれて こんなに傷ついてこんなに拗らせて、 その当時の自分の感情が そのまま文章化されたみたいだった。 痛いほど好き、とかそんな言葉は ひとことにすれば それで終わってしまうのだけど、 その表現をここまで色や形を紡いで 多様に表現できるのか、という 驚きをダイレクトに味わいました。 好きな音楽が何個も出てきて、 その曲を聴いてるときの 自分の気持ちと

          好きって表現の豊かさ 

          小説における味変…?

          ✎﹏ 読書記録 2023年12月21日 「コンビニ兄弟〜3」/町田そのこ 青春友情物語かと思ったら、家族愛や夫婦愛を描いたり、大人のほろ苦さのある恋愛小説になったり、推しとオタクの関係性を描いてみたり、小説における「味」があるとしてそれが今述べたものなら、味変何回できるの?っていう作品だった。 オムニバス形式の短編集だから、活字をスマホやパソコン以外で普段あまり読まない、小説に苦手意識があるかも、って人でも手に取りやすいんじゃないかと思うし、(実際私が半年以上本読んでなく

          小説における味変…?