穴場職種 外資FP&Aに採用されるには?部下無し年収1500万も(経理話)
外資FP&A10年目を迎えるくーやの経験から、この穴場職種に採用される為の方法や、必要なスキルをご紹介します。前提としては年収700万円のアナリストからスタートして1500万円のマネージャー迄の説明になります。
お伝えしたいポイントは穴場であるという事です。まずは興味本位で記事をご覧いただいて、ふ~んこんな職業もあるのね程度に参考にしていただければと思います(特に経理関係の方むけ)。
この年収帯は以下の外資エージェントサイトの記事でも紹介がされていますが、私も同じ肌間感覚を持っています。
なぜ穴場なのか
ひとことで言うと需要が高いわりに、人材がほとんど市場にいません。この記事を見ている方であれば大体想像がつくと思うのですが、FP&Aという職種は日本の市場において認知度が低く未成熟です。これはグローバルには標準機能として搭載されているものの、日本にはもともと無かったので、グローバルの意向(日本におけるカウンターパート・話が通じる人が欲しい)により日本支社に搭載が求められ始めている・強化されてきているという背景があります。
現状はごく少数のFP&A経験を持った集団の中で人材が行き来していて、採用募集をかけても1年以上見つからないという事はザラです。その割に学歴や資格の選定は大変緩く、”実務経験と今何が出来るか”を重要視するので、戦略的に方針を決めれば、士業や医者などと比べると参入障壁は大変低いといえる穴場職種と言えます。ひらたく言うと、さっとなれます。
まずは年収モデルを見てみましょう。
1500万までのモデル例
1500万円というのは私が感じている上限値です。これ以上も目指せると思いますが、企業のリッチ度に左右されるため一旦現実的な数字をゴールに置きます。
例1:転職をフル活用した型
(出だしの難易度は高いが、後半急成長)
中略
日系企業経理 400万円を数年
外資転職Phase1 <難易度:高>
FP&A アナリスト 700万円
FP&A シニアアナリスト 900万円 <社内昇進>
FP&A マネージャー 1000万円 <社内昇進>
外資転職Phase2 <難易度:低>
FP&A マネージャー 1300万円 (Manager or Sr Manager)
FP&A マネージャー 1500万円 (Sr. Manager, or above)<社内昇進>
例2:転職と社内異動を活用した型
(出だしの難易度は低いが、大器晩成型)
中略
日系企業経理 400万円を数年
外資転職 <難易度:低>
ファイナンス組織のスペシャリスト(FP&Aではない) 600万円
FP&A アナリスト 700万円 <社内異動>
FP&A シニアアナリスト 900万円 <社内昇進>
FP&A マネージャー 1000万円 <社内昇進>
FP&A マネージャー 1300万円 (Manager or Sr Manager)<社内昇進>
FP&A マネージャー 1500万円 (Sr. Manager, or above)<社内昇進>
いきなりFP&Aはむずかしい
FP&Aアナリストの求人要件を見ると、経理実務経験~5年というのがよく見られます。経理経験がない状態でここへ転職する事は難しい為、まずは実務経験をどこかで数年積んでおく必要があります。
経験を積んだ後は、いきなりFP&Aを狙っても良いのですが難易度が高いので、幅広く外資系ファイナンス組織のどこかにまずは潜り込んで、その後FP&Aへ社内異動する方法が個人的にはお勧めです。
なお経営企画やビジネス管理部門での経験もFP&A採用にもチャンスは当然ありますが、この場合は証明の為に会計資格が求められます。
マネージャーになれば後は早い
FP&Aアナリストに着任した後は、いちど管理職であるマネージャー職までを目指します。アナリストからシニアアナリストになるは比較的容易ですがマネージャーになる難易度は高いです。ここで詰まった場合は転職も視野にいれます。
しかしながら、一度マネージャーになってしまえばそこから先はホップステップジャンプで、今までの昇進の遅さが信じられないくらい簡単にスピードアップするチャンスが上がります。また、マネージャーになってからすぐ外部にシニアマネージャー職として転職するという魔法も使えます。
市場において管理職になったという実例さえ作れれば、市場は納得するので何としてもこの納得を得ましょう。実際仕事ができるかは転職時点では関係ありません。
穴場に必要なもちもの
実務経験についてまずはお話したのですが、ここからはFP&Aに採用されるにあたっての魅力的なもちもの紹介です。これを持っていなくても仕事はできますが、これを持っていないとだいぶ辛いというか、生き残れなくなってしまいます。あまり敷居の高いものは求めていませんので安心して下さい。
もちもの1:コミュニケーション力
FP&Aはバックオフィスの中では、最もコミュニケーション力を求められると言っても過言ではありません。
冒頭でふれたように、グローバルの意向(日本におけるカウンターパート・話が通じる人が欲しい)により日本支社にFP&A搭載が求められているという背景がありますので、海外の組織とコミュニケーションが出来る必要があります、加えて日本社内の全部署とコミュニケーションを行う必要も有りえます。海外と日本支社では文化がだいぶ違うので、ウェットでもドライでもどんな環境でも楽しくコミュニケーションしてお仕事ができる人材が重宝されます。ただそんな人はどこにもいないので、あくまで理想です。
もちもの2:リーダーシップ力
面接での各種質問もそうなのですが、日々あなたに任されていく仕事は
「あなたはリーダーになる準備ができていますか?」
が変換されたものであることに注意してください。
書類が大量にデスクに置かれても、山のようにメールが届いていても、答えのない発言を求められても、「はい、その準備ができています」という意思表示・振る舞いによる回答が大切です。面接では、アナリストポジションであっても、「はい、もうリーダーです」というトーンが大切です。
なぜこれが求められるかというと、これはビジネスにおいて大切なもちものであり、FP&Aはビジネスをサポートするので、持っておきたいという所です。7つの習慣という本は読破しておきましょう。また、リーダーシップが強すぎても「なんだこいつ」と思われるので日本人らしい謙虚さもアピールしてください。厳密には、海外勢とコミュニケーションする時にはリーダーをアピールし、日本人とコミュニケーションする時は謙虚を重要視します。
もちもの3:英語
ポジション別に私が感じた市場の期待値(理想)を記載してみます。
・ファイナンス組織内のスペシャリスト:ビジネス中級
・FP&A アナリスト 700万円:ビジネス中級
・FP&A シニアアナリスト 900万円:ビジネス上級
・FP&A マネージャー 1000万円:ビジネス上級+交渉
・FP&A マネージャー 1300万円:ビジネス上級+交渉
・FP&A マネージャー 1500万円:ビジネス上級+リーダーシップ
ただ私が見てきた職場の実際は、↓↓↓こんな感じです(所感)
市場に人材がすくないので仕方ないのでしょう(だから穴場です)。
・ファイナンス組織内のスペシャリスト:ビジネス初級
・FP&A アナリスト 700万円:ビジネス初級
・FP&A シニアアナリスト 900万円:ビジネス初級~中級
・FP&A マネージャー 1000万円:10%ビジネス上級/ 90%ビジネス中級
・FP&A マネージャー 1300万円:30%ビジネス上級/ 70%ビジネス中級
・FP&A マネージャー 1500万円:60%ビジネス上級/ 40%ビジネス中級
ビジネス中級のイメージは、発言の際に日本語が少しまざってしまったり、大きな間があいたり、ネイティブが顔をしかめたりするレベル帯です。ネイティブが思っている日本人の平均程度になります。
ビジネス上級のイメージは、自分の言いたい事は100%いえるけど相手の言っている事は80%理解できる(想像もできる)程度です。ネイティブレベルはCFOにさえ求められていません。
このように、実は英語があまり話せないというマネージャーも相当数います。なぜこうなっているかというと、そもそもFP&A界隈は人材が不足しているし日本人は英語を話す機会がないのでこのようになっています。
(あれば尚良し)
もちもの4:資格など
資格があると転職や昇進に強い事は確かです。しかし実務において必要なのかというと疑問があります。所感に基づくものですが見てみましょう。求人においても「あれば尚良し」表記になっています。
USCPA
FP&A組織内で約20%程度のホルダーを見かけています。求人案件に筆頭に書かれています。取得にあたっては高い労力を要しますが効果は抜群です。しかしFP&A実務は予算編成や一部のコントローリングなので、若干過剰すぎる魅力です。FP&Aだけというよりも将来CFOを含め幅広いキャリアを視野に入れた素晴らしい資格になっています。市場では取り合いです。
MBA
FP&A組織内で約10%程度のホルダーを見かけています。求人要件にも記載されている事が多いです。取得にあたっては高い労力を要しますが効果は抜群です。とくにビジネス部門とコミュニケーションする上で話が通じやすくなるので話の分かるやつという扱いになります。将来的にはFP&A、CFO、またはビジネスサイドでのキャリアに大きな機会があります。市場では取り合いです。
USCMA
FP&A組織内でごく稀にホルダーを見かけています。求人要件にも稀に記載されています。取得にあたっては中程度の労力を要しますが、日々の実務に生きる資格です。これはFP&Aを主軸にした資格なので実務に関係しない部分は学ばなくて済みます。市場では「なんか知らんけどすごそう」な認識です。
日商簿記2級
FP&A組織内でごく稀にホルダーを見かけています。求人要件にはほとんど記載されていません。取得にあたっては中程度の労力を要しますが、日々の実務にベース知識として生きる資格です。市場では「基礎はわかっているのね」な認識です。
(あれば尚良し)
もちもの5:パソコンスキル
びっくりされるされるかもしれませんが、エクセルとPPTで事足ります。
FP&A関連ツールは会社に入ってから学べば大丈夫です。TableauとかPower BIとか、RPAとか、IT関連のスキルあれば尚良しです。
穴場で生き残るには
どんなに資格や学歴を有していても日々の仕事では、高いパフォーマンスを持続的に発揮できるかどうかが全てです。
そんな事は知っている!と思われるかもしれないのですが・・・
FP&A組織では、Accounting組織と比べてこの扱いが顕著であり多くのステークホルダーがあなたのしごとぶりを「Watch」しています。
仕事ができない人認定されたら辛いので生き残るコツをご紹介します。
コツ1:リーダーとして行動する
意訳:わたしはアナリストですが、既に自分をリーダーと見做しています。
(特に海外リーダーとのコミュニケーション時にこれを実施)
コツ2:謙虚に行動する
意訳:わたしはアナリストなので、ご教示の程お願い致します。
(特に日本のウェットな環境下でこれを実施、かわいいやつめ)
穴場に所属するデメリット
そんな素晴らしいFP&Aですが、ここに所属するリスクが存在します。
まずはFP&Aに所属している期間が長くなると、制度会計やコントローリングに疎くなります。アカウンティングチームと日々連携して、学び続けましょう。
FP&Aからビジネス部門への異動を言い渡される可能性があります。アカウンティングチームではこれは起きませんが、FP&Aとしてビジネスと接する機会が多く似通った業務をしているので、パフォーマンスが下がったらその覚悟をしてください。
FP&Aの中で特定の事業を支援するビジネスパートナーロールとして従事している場合は、その事業自体が消えた場合その役割も自然消滅します。
最後に
この記事では年収モデルから、具体的な必要要件や生き残る方法などをお伝えしてきました。
個人的に最期にお伝えしたいのは、この職種を目指している方や既に働いている方には、ぜひUSCMA (中程度の労力で取得可能)に挑戦をして頂きたいと思っています。この資格がなくても十分に転職は可能ですが、これがあると実務にも役立ち転職にもちょっと役立つので、本当にお勧めです。私の記事は大半がUSCMAなので他の記事もぜひご参考ください。
もし記事を気に入っていただけたらぜひスキを押しいただけるととっても嬉しいです。新しい記事をかくモチベーションになっています。それでは!