妊娠・出産ビジネスに振り回されないために。
困っている人のニーズを解決すること。
それが世に溢れる全ての商品の存在する所以であることは疑っていない。
サラリーマンとして働いている以上、会社がどんなに素晴らしいビジョンを掲げていてもビジネスは慈善事業でないことは理解しているし、
前期コロナショックを受けて会社からのボーナスの支給がなくなったこともあり、
事業を継続するために売り上げは欠かせないことも実感しているところである。
世の中には困っている人の課題を解決するための商品(サービス)はたくさんあって、
妊活に励んでいたときは不妊に良いとされているサプリメントや漢方の広告が私のGoogle検索結果やバナー広告に高頻度で表示されていて、
「あ〜私、不妊に悩んでいる女性というカテゴリでターゲティングされているんだわ。」と思っていた。
子供を授かるために良いとされていることは、シンプルに規則正しい生活・充分な睡眠・適度な運動・栄養バランスの良い食事に尽きると思うが、
シンプルすぎて他にできることってないのかな? と思ったり、
反対に共働きで平日夜まで仕事してるのにいつも栄養を考えた献立なんて作れるわけない! と悩んだりする。
そんな時に、妊娠前から葉酸は飲んだ方が良いとか、妊娠率とビタミンDの相関性が大きいだとか、一般的な日本人女性は妊娠に必要な栄養素が不足している...だとか色んなエビデンスを持って
各社は自社のサプリメントを宣伝してくるわけで
真剣に妊活に取り組んでいる当事者としてはどの情報を信じたらいいの??
とかなり混乱する。
「サプリメント名+クチコミ」で検索してみても賛否両論(妊娠できた人だってサプリのおかげで妊娠できたかは分からない)
出てきて、何も解決にならない。
結局ネットで探すのは止めてオフィス近くにある大手漢方薬局の窓口に通い1年半、
毎月1.5~3万円かけて薬を飲み続けたけれど妊娠した時にその漢方を買うのはもうやめていたし(在宅勤務となり薬局に通うのが難しくなったため)、
もしかしたら1年間の漢方治療で体の状態が整えられた面もあったかもしれないが
体外受精で子供を授かったので治療なんてしていなくても
体外受精に早めに進んでいればよかっただけの話だったのかもしれない。
そんな不透明な広告類の追跡からやっと逃れられたと思っていたが、
今度は「妊婦さん」の私に対して不妊治療の時とは比にならないほどの広告が送られてくる。
広告の種類も増えて、
サプリメントのほか、マタニティグッズ(服や下着、妊娠線予防クリームなど)・ベビーグッズ・ベビー用品のレンタルサービス・家事代行・保険・ベビー用教材...
など全て数え上げるのは難しいくらいある。
妊婦さんをターゲットにしたプレゼントキャンペーンもググれば沢山見つかるのだが、
かわいいベビーグッズに惹かれてプレゼントに応募してみれば
クーポン付きのメールが毎日何通も届き、ポストにもベビー用品カタログや妊婦さん向けの雑誌などが3冊くらい届いた。
妊婦さん向けの雑誌に関しては、
広告だけでなく妊婦さん向けのお勧めストレッチだったり、出産レポだったりと
興味深い内容もたくさん載っているのでついつい読み込んでしまう。
そうしていると、
「今普通のボディクリーム使ってるけどやっぱり妊娠線防止用のクリームにしたほうがいいのかなあ?普通のクリームで妊娠線できたらどうしよう」とか、
「今のところ仰向けに寝るのに不便はないけどお腹が大きくなったら抱き枕が必要になるのかな、授乳兼用だといいのかもしれない・・」とか
初めての妊娠・出産で不安になっている妊婦(私)は
これから自分の身に起きるかもしれないことを想像してどうもソワソワさせられてしまうのである。
不安につけこまれているような、本当に必要な物を薦められているような、
なんとも言えない心境でいる中で、
ゼクシィBabyという雑誌の一文が目に止まった。
なるほど、つまり広告を見て不安な気持ちになってしまうのは産後(未来)のイメージがちゃんと出来てないからだと気付く。
当たり前のことなのだが、よく分からない・なんとなく不安という気持ちでいると
「妊婦さん用」「ベビー用」とコピーがついているだけで
それを持っていれば万事安心のように思ってしまう自分に気づいてハッとした。
初めてのことなのでよく分からないのは事実だけれど、
周りの経産婦さんに話を聞いてみたり、なにより自分の心や夫がどんな赤ちゃんとの生活をイメージしているのかクリアにしていくことが納得できる選択に繋がっていくのだと腹落ちしたような気持ちになった。
情報があふれる世界の中でいかに必要で適切なものを選んでいけるか。
ママになる前の一つの試練のように感じられる。