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創刊号試し読みー「アイアンハート」高木大吾
1月14日文学フリマ京都で販売します「第九会議室 創刊号」の、
掲載作品の試し読みコーナーです。
高木大吾 著者紹介(本文から抜粋)
1985年兵庫県生まれ。編集者、ライターとして、公共から民間までさまざまなプロジェクトのブランディングや企画に編集的な視点で関わる。幼少期から日本文学を好み、20代から古書の蒐集を本格的に始める。好きな作家は、西村賢太、永瀬清子、福永武彦、野呂邦暢、多和田葉子など。近年はジェンダー、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの領域でも活動しており、生殖と(反)ポストヒューマンがパーソナルなテーマとなっている。その他、読書会「YOTSUBASHI BOOKCIRCLE」を主催している。
X(旧Twitter):@Studio_PASTEL
「アイアンハート」試し読み
はい、ということでね、我々、ロボット漫才いうことでね、アイアンハートと申します。よろしくお願いします。ぼくはね人型ロボットで、体も心も金属製、ロビと申しますー。こっちは生身の人間ということで、ハチといいますー。前代未聞の漫才やらせてもうてます。今日は、こんなね、お足元が悪いなかでね、お集まりいただいて。ありがとうございます。いやあ、みなさん、こうして舞台から見ると、人間性豊かっていうかね、立派に人間らしい顔してはりますわー。
いや、だいたい、みんな人間やがな。
なんでやねん。あそこのメガネのおっちゃん、多分人間ちゃうで。あんな顔して人間て。
失礼やねん、やめとけや。なんでやねんちゃうねん。お前とちごて、みんな人間やねん。
出た、ロボハラ。みなさん、聞きました? ぼく、ロボハラされましたー。いやいや、中身は人間と変わらんよ、見た目こんなんですけど。
見た目はなあ、もうちょっとどうにかならんかったん。鎧でも着てるんかっていう。最近はね、人間と見分けつかんこともあるやんか。
まあ、ぼくもこんな人前に出ると思ってなかったからね。そんなね、ロボットしゃべくりませんから。古典的な金属製ボディはダイナマイトでも大丈夫。これがほんとのダイナマイトボディ。
なに言うてるか分からんわ。まあ、ボディはね服も着てるわけですから、あんまり気にならんよ、しょうみ。でも、まあ、顔はちょっとなあ。まさに鉄仮面やがな。ぶさいくやわあ。
うわ、傷つくわ。みなさん、こういう見た目いじりはあかんですよ。でもね、ぼーくーはー、鋼のこころ!
……
あれ、今日お客さんいてへん? ちょっと待って。実はハートはガラス製。ちょっと見た目の悩み聞いてくれる?
うん、どうしたん?
こんなふうに見えて、実は、ぼくのボディ、割と安物なんです!
そんなん言わんでいいがな。ちゃんとかわいい水色の蝶ネクタイがにおうてるよ。まあね、世の中、もっとかっこいいボディを持ってはるかたもいるけれども。
もっと言うて、事務所に言うて。あの社長に言うて。給料いらんから、かっこええボディちょうだーい。