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「矛盾」は矛盾してない。


あるところに、盾と矛を売っている商人がいました。

商人は「この盾は堅く、いかなる矛をも通さない」と盾をほめました。

さらに商人は「この矛はとても鋭く、いかなる盾でも防ぐことはできない」と矛もほめました。

それを聞いていた人からこのような質問が上がります。

「矛で盾を突いたらどうなる?」

すると商人は、言葉に詰まってしまいました。


これは「矛盾」の故事です。皆さん国語の授業でやりましたよね。

その当時から思っていたのですが、これ実際に矛で盾を突いてみるとして、矛サイドの奴だけ技術いりますよね。

盾は構えさえすれば後は盾の性能次第なのに対して、矛は結構使う奴の力量次第なんですよ。

そもそも武器の目的として矛が不利じゃないですか。盾は攻撃から身を守る為のアイテムなので、当然矛に突かれる事を想定していますが、矛はあくまでも肉を貫く為のアイテムなので、出来れば盾のような硬い物を突く事は避けたいはずなんです。

しかも盾には「引く」という選択肢があります。矛は押さない限り「いかなる盾でも防ぐことはできない」を証明できませんが、盾は極論向かってくる矛と同じ速度で引けば「いかなる矛をも通さない」を達成出来ます。

つまり絶対に盾が勝ちます。

「盾突く」って言葉がありますよね。これの意味は「目上の人に対して逆らう」です。

目上の人(盾)に対して逆らう(突く)ってことですよね。

「目上」って言ってますやん。

もう盾が上なんですよ。

まだ認められない人は、矛と盾の順番を見てください。

別に「盾矛」でも良いのに何故「矛盾」なのか。これがほぼ答えです。

三井グループの「さくら銀行」と住友グループの「住友銀行」が合併して出来た「三井住友銀行」の英語名は「Sumitomo Mitsui Banking Corporation」です。

英語名になると三井と住友の順番が入れ替わります。

理由は「お互いのメンツを保つ為」だとされているのですが、世界では住友グループの方が有名な事も関係あるらしいです。

つまり日本では、住友が三井を立てているんですね。

これと同じです。

盾が矛を立てているのです。

矛はそれを誇っているのです。

世界ではシールドスピアなんです。

もういいですね。

矛盾って全然矛盾していないんですよ。


わかります。

そういう事じゃないですよね。

一種の思考実験なんで「実現したら云々」は不毛です。

正直、言葉の意味は別にいいんです。

僕はこの故事の、商人と客のやりとりが納得いかないんですよね。

そんな売り方してるんやったら、そうやって聞かれる事想定しとけよって思いませんか。

だって「なんでも貫く矛」と「何も貫かせない盾」を一緒に売ってるんですよ。

どう考えても「その矛でその盾を突いたら?」を引き出す為の罠じゃないですか。

で、まんまと釣られた奴が聞いたんですよ。


「矛で盾を突いたらどうなる?」


またとないセールスチャンスですよ。

後は用意してた回答を出すだけ。

その商人どうしたと思います?


言葉に詰まってしまいました。


なんで意外やねん。

言われそうやろ。

「矛で盾突け」言うとんねん。

お前が意表突かれてどないすんねん。

せめて「一本取られた」とか言えや。

言葉に詰まるってなんやねん。

向いてへんやんけ。


ほんで聞いた奴もしょうもない事聞くなよ。

「してやったり」やないねん。

お前どうせどっちも買わんやろ。

矛とか盾とか使う武闘派はいちいちそんな事疑問に思わんねん。

たまたま前通っただけやろ。

「商人は何も売られへんかったけど俺は油を売ってます」ってか。

やかましいわ。

今回はその商人がアホやっただけで、本来お前が恥かいてるからな。


そうなんです。

この話、登場人物どっちもアホなんです。


そんなアホ2人が「矛盾」みたいな賢い単語になっている事がムカつくのです。

みんな頑張って歴史に残ってんねん。

ただの「売れへんかった奴」と「前通った奴」のくせに歴史になるな。


別に今更「矛盾」の意味をひっくり返そうとしているわけではありません。

凄く使いやすい良い言葉です。

ただ知って欲しかっただけです。

矛盾は実際やってみたら矛盾していない事と、矛盾はアホ2人が作った言葉だという事を。

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京極風斗
四字熟語でお礼します。