ビジネスを継続成長させる「顧客起点」マーケティング
このM-Forceの連載では、2019年4月に出版された「顧客起点マーケティング」抜粋への加筆修正、そして最新事例や考察なども含めた「顧客起点」ビジネス推進への発信をしていきたいと思います。まずは、ビジネスを継続成長させるための本質「顧客起点」のマーケティングについてお届けします。
~ 「顧客起点マーケティング」Part 1~
2017年4月にM-Force共同創業者の西口はデジタルサービスのスタートアップ企業であるスマートニュースに日本と米国のマーケティング責任者(執行役員 SVP)として参画しました。P&Gで16年、ロート製薬で8年、ロクシタンで3年、物理的な製品を製造販売するビジネスを長らく手がけてきたものの、デジタルビジネスは初挑戦でした。
2006年に発売されたスマートフォンの浸透によるライフスタイルや価値観の変化は凄まじいものがあります。インターネット登場後も大きく存在してきた物理的世界とは別に、スマホを通じて多くの人が常時ネットに接続し、ネット世界で長時間過ごすようになりました。“新たなリアル”世界の誕生です。物理的な“旧リアル”と、物理空間を超えて常時繋がる“新リアル”の2つが並行存在しパラレルワールドを構成しています。旧リアルと新リアルの顧客行動には多くの違いがあり、マーケティングの手法(H O W)も新たに覚えることが多くありましたが、「顧客起点」で考え成長戦略を構築するという意味ではやるべきことは共通していました。
西口が参画した2017年4月において、日本のスマートニュースは、競合のニュースアプリに押され気味で成長が鈍化しアプリランキング100位圏外でした。その後、顧客起点でマーケティングを構築し、約1年後の2018年6月にはiPhone(iOS)、AndroidともにランキングNo.1を獲得しました(App Annie調査)。2018年から顧客起点のマーケティングを開始した米国のスマートニュースも追い上げるように伸張し、米国の解析サービス「Parse.ly」によると、英語圏のメディアへの送客元として、2018年12月には米国Yahoo! を抜いて第10位にランクイン、2019年には時価総額10億ドルに達し、いわゆる“ユニコーン”企業となっています。
西口は、2020年8月で戦略顧問も退任し、スマートニュースの支援から離れましたが、2020年9月の発表では、世界で累計5,000万ダウンロード、月間アクティブユーザー数2,000万人を突破し、米国においても高い成長を続けています。
スマートニュースの「顧客起点マーケティング」とは、P&G、ロート製薬、ロクシタン等で活用されてきた「顧客ピラミッド(5セグマップ)」と「9セグマップ」という顧客分析フレームワークを活用した成長戦略の構築と実践です。
T A M(Total Addressable Market = 獲得できる可能性のある最大の市場規模=100%シェアの枠)を定義し、対象マーケット全体を俯瞰し、意味ある顧客セグメントに分類し、「N1分析」を通し成長戦略になりえる「アイデア」を洞察し、その効果検証をしながら投資拡大し継続的なビジネス成長を実現します。
--------------------------------------------------------------------------書籍紹介: たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング(MarkeZine BOOKS)1000人より1人の顧客を知ればいい。P&G、ロート製薬、ロクシタンを経て「スマートニュース」をアプリランキングで100位圏外からNo.1へ伸ばした著者が確立した「顧客ピラミッド」「9セグマップ」「N1分析」を全公開。