誰より主人公
救済です。
好きな漫画・アニメを布教して沼らせることが趣味です。ヒロアカを友人に勧めたところ、見事に熱中しているようです。アニメ化してNetflixにある作品は、供給量が多いから布教しやすい。
僕のヒーローアカデミア(通称 ヒロアカ)は今やジャンプを支える代表的作品の一つだ。アニメもはや5期に到達し、映画化も2回成功。海外での売り上げはワンピースに引けを取らない。
大まかなストーリーとしては、戦闘力皆無だった主人公(デクくん)が力を譲渡されて、能力を伸ばす学園での生活、悪に立ち向かう様を描いている。紆余曲折あってキャラの個性も立っていて全体的に面白い、超面白い。絶対読んでほしい。
ただ、唯一受け入れられない点がある。主人公(デクくん)が嫌いだ。他のキャラクターが個性能力を必死で伸ばす中、デクくんは代償なしに、強力な個性能力を譲渡される。その後もラッキーで得た力を展開するストーリーが続く。
ジャンプマンガの鉄板ネタとして、弱い主人公が努力して強くなるストーリーがある。ハイキュー!や鬼滅も、この鉄板ストーリーに沿って書かれている。読者は、主人公の泥臭さに共感して元気づけられ、感動する。デク君にはこの泥臭さがない。努力は所詮、運に適わないと言われ続ける漫画。
この特徴が謙虚に現れるのは戦闘訓練の回。幼なじみ(かっちゃん)との戦闘訓練シーンは涙なしには見られない。15年必死に伸ばし続けたかっちゃんの個性が、数週間前にたまたま得たデクくんの個性に負けるのだ。今までの努力が圧倒的な力のもとに砕かれる様子は見ていられなかった。結局運ゲーじゃないか。
その後もデクくんは個性能力をあたかも自分自身のものとして扱う。譲渡してもらったことへの感謝も見えない。デクくんが泣き叫びながら戦うシーンは、覚悟をもって個性の譲渡を望んだとは到底思えない。一方かっちゃんは、自分の弱い部分も受け止めて必死に個性育成を続ける。どちらが主人公なのかわからなくなる。真の主人公は、かっちゃんじゃないのか。
ジャンプ公式の人気投票の結果を見れば、同じ考えの人がわんさかいることがわかる。第1回の人気投票こそ、主人公デクくんが首位を獲得した。しかしその後はどうだ?5回連続で不動の1位を獲得しているのは他でもない、かっちゃんだ。読者の中には僕と同じような努力厨で泥臭いのが好きな人がまだまだいるようだ。
今後もデクくんは主人公で、最終的に世界最強で、みんなから愛されるような存在になるんだと思う。だけど、その裏で試行錯誤してるかっちゃんをずっと見たい。笑ってるシーンなんてほとんどなくて。歯を食いしばってチクショウ!って。誰もいないところで泣いてる、そんなかっちゃんをずっと推していきたい。