婚約指輪と、わたし。
結論から言う。
私は婚約指輪を貰っていない。
貰っていないというか、貰わなかったというか。
なぜ私たち夫婦が“婚約指輪を買わない”という選択をしたのかについて。
少しだけ話してみようかと思う。
まず前提として、これはあくまで私たちの話であることと、私たち夫婦の考え方であって正しくない情報も混じっているかもしれないことを覚えておいて欲しい。
そもそも婚約指輪とは、婚約した証である。
なんとなく、プロポーズの時に男性から女性に贈る物みたいなイメージになっているが、本来はそうでは無くて。
結婚を約束した証として、婚約後に男性から女性に贈るのが普通だ。
と、いうわけで。
私の夫も、プロポーズをしてくれた後に「婚約指輪をプレゼントしたいから、一緒に選びに行こう」と言ってくれた。
ここのがいい!とか、これがいい!とか、そういうのが無かった私は、とりあえず調べてみるかと思いながら。
その前にと、婚約したことを両親に報告し、結婚の挨拶と両家顔合わせの日程を段取りした。
婚約指輪は、両家顔合わせの日までに用意するのが良いとされている。
それは両家顔合わせ、つまりは結納の場で、婚約記念品としてお披露目するからだ。
(諸説あるし地域によって違うので、ひとつの説として書かせていただく)
男性から女性には婚約指輪を贈り、それをいただいた女性は(相場として婚約指輪の半額程度の)お返しを贈る。
これが、婚約記念品。
気に入った物を付けて欲しいから、婚約指輪は一緒に選びに行こうと夫は言った。
だから私も、じゃあお返しの品も一緒に選びに行こうと言った。
女性から男性に贈るお返しの婚約記念品の定番といえば、腕時計、スーツ、アクセサリー、ネクタイピンなどが挙げられる。
私の周りの既婚者に聞いてみても、だいたいの女性が腕時計かスーツを贈っていた。
中には新しいiPhoneに買い替えてあげたという子もいたが。
腕時計も、スーツも、ネックレスも、ネクタイピンも、それまでの誕生日やらクリスマスやらに贈ったことがあったので、夫へのお返しが思いつかなかったというのも本音で。
だから一緒に選びに行こうと言ったのだが。
「んー…今欲しいもの無いんだよなー…」
というのが、普段から物欲低めの夫の返事だった。
それを言うなら、私も、絶対に欲しい指輪があるわけではなかった。
ただ、お互いの両親は、ケジメとして婚約記念品の交換はして欲しいと思っているらしかった。
目に見える形で、ということだろう。
だから一度は婚約記念品の交換をする方向で考えていたのだが、結局は辞めた。
1つ目の理由は、お互いに欲しいと心から思える物が無かったこと。
婚約指輪にしても、お返しの品にしても、安いものでは無い。
妥協したくは無いし、なんとなくで決めたくもない。
じゃあこれでいいか、なんて、顔合わせに間に合わせるためだけに用意するのは嫌だったのだ。
2つ目の理由は、婚約者期間がとても短いこと。
私たちは12月25日に婚約して、翌年の2月5日に入籍した。
婚約者である期間は、たったの1ヶ月少し。
入籍した日からは結婚指輪を付けようという話をしていたので、そもそも婚約指輪を付ける期間がほとんど無い。
だからこそ、なんだか勿体ないような気がした。
3つ目の理由は、金銭面。
私も夫も“物より思い出”な人間だ。
指輪や腕時計にお金をかけるくらいなら、結婚式や新婚旅行にお金をかけたい。
そういった意見が一致して、婚約記念品の交換は辞めた。
つまり、婚約指輪を貰うことは辞めたのだ。
結婚してから今日まで、それを後悔したことはない。
夫も、やっぱり買っておけば…やっぱり貰っておけば…なんてことは言わないので、後悔していないのであろう。
両親たちも、顔合わせの時に結婚指輪を見せたところ、婚約記念品については何も言わなくなった。
やはり、形として何か残っていれば、両親としてはそれで良かったんじゃないかと思う。
ちなみに結婚指輪は、自分たちで1本の金属から手作りするものを選んだ。
ブランドの物を買うよりは随分とリーズナブルだが、色も太さも質感も柄も刻印も、全部自分たちで選んで作った世界に一つだけの指輪に、私たちは満足している。
きっと、夫婦の形に正解など無い。
結婚の形にも、正解など無いのだ。
だから私たち夫婦はこれからも、2人で話して、2人が良いと思った選択をしながら過ごしていきたいと思う。