でんぷん粉が余った時の話
今の事業所に異動する前は通所施設(生活介護、就労継続B型、日中一時)で働いていました。私が就労継続B型のグループに入る前に煎餅販売に着手しようとしていましたが製造できる環境が整わず断念していました。私が就労継続B型のグループに入ってしばらくして煎餅の材料が古くなり、特に食用に適さなくなった大量(30㎏ぐらい)でんぷん粉について処分しようという話になっていました。
食用以外ででんぷんといえば私はまずでんぷん糊を思い出します。とりあえず水の中にでんぷん粉を入れて煮沸しスプーンで混ぜていくと粘り気が出てきました。(この作り方自体は珍しくもなく普通の作り方です。)少し冷ますとでんぷん糊になりました。まだ大量のでんぷん粉が余っているので、利用者に作ってもらい全部糊にして販売できないかと考えていました。
しかし、私が作成したでんぷん糊は持ってせいぜい2週間ほどでした。市販してあるでんぷん糊は防腐剤やその他にも公開されてない材料が含まれているのだと思います。専門家の監修のもとに作成したら商品化できるかもしれませんが、売ったとして採算が合わない可能性が高いです。
でんぷん糊に何か加えることで新しいものにできないかと考えて調べたところ新聞紙やトイレットペーパーを細かくちぎり、でんぷん糊を加えると紙粘土に代わります。しかし、この紙粘土にも欠陥があり、市販の紙粘土と違い渇いたとき柔らかくならず変形しようとすれば強度を保てず壊れてしまいます。これは素人の私ではどうやっても商品化できない代物でした。
一番の欠陥は紙質の悪さでした。どうしてもザラザラで見栄えも手触りもいまいちでした。何かいい紙はないかと模索したところ多くの事業所や学校で作る紙漉きで使う牛乳パックのパルプ紙でした。このパルプ紙とでんぷん糊の相性は良く手触りも滑らかで見栄えも悪くありませんでした。しかし渇いた時に変形しようとしたら強度が保てない欠陥品であることには変わりありません。
渇いた時に変形できなければ渇く前に型どりをする方法しかありません。私はとりあえずロフトの調理器具売り場に行きクッキーの型どり器を購入しました。事業所の絵画の時間に実際に紙粘土作りを行い飛行機、車、ペンギン、人、ウサギなどの形の紙粘土を作りました。正直、型どりを均等にできなければ微妙に形が崩れ商品(いちいち売り物にならないか考えてます)にするにはこれもいまいちでした。
私の商品化ビジョンとしては冷蔵庫や磁力板にマグネットを裏に貼られた人や動物の模型をつける。その横にコメント欄の型どりをした紙粘土を貼って、まるで人や動物が貼った人の代わりに会話している様な家族やシェアハウスで暮らしている人の伝言板を作りたいなと考えていました。
しかし、商品化するには商品の練度が足りず、開発中に異動になり今ではすっかり手を付けていません。この経験で感じた事は一つの商品にする為には本当に専門知識や技術が必要で自分一人でできる事ではないという事。その分野の専門家と協力する(つながりを持つ)事の大切さ痛感しました。
そして環境(異動)を言い訳にして開発を止めてしまった自分の弱さを感じました。協調する事、継続する事を今後の自分自身の目標としたいと改めて思いました。
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