大学もオンライン授業に切り替わりました②
前回、私が受けているフィンランド語のコースがどのようにオンラインで運営されているかをざっとまとめましたが、今回は授業の中身をもう少し詳しく書いていこうと思います。
まずオンラインミーティングのツールはZOOMを使っています。生徒が大体そろったところで、先生が4~5人のグループに分け、そこから1時間ほど各グループでスピーキングの練習をしていきます。
基本は教科書のエクササイズをやっていくのですが、面白いなと思ったのが、Web上のサイコロを使ってすごろくをしながらのスピーキングエクササイズです。
左下のALOITUS(スタート)から始まって、右上のMAALI(ゴール)まで進みます
サイコロを振った数だけ進んでそのマスのお題に答える(例:I want to … because…., but…などの…を埋める)、というシンプルなルールです。英語学習にもよく使われる手法ですが、学習者が対面していなくてもできるとは考えていませんでした!
このあとは、今日のプログラムの中からグループで好きなトピックのエクササイズを選んで教科書に沿って進んでいきました。
ちなみにこの「好きなトピックを選ぶ」をいうのは、フィンランドではよくあります。
自分の苦手な分野や伸ばしたい分野はそれぞれ違うし、頑張りたい度合いも人それぞれ。Aはもう十分できているからBをもっと集中してやりたいなど、自分で学びたいことを決めていいスタンスがよくみられます(たとえば宿題もいくつか選択肢があって、全部してもいいしかいつまんでしてもOKなど)。
これは、自分の学習の仕方のくせややる気をコントロールする方法を理解し、自ら計画を立て、経過をモニターし、振り返りまた新たな目標を立てるというサイクル(自己調整学習:Self-regulated learning)のトレーニングにいいなと感じました。
中学校での指導にも、最低限の学習内容をクリアすればあとは自分で何をどこまでやるかは決めてOK。努力をしなかったとしてもそれは自己責任で、そこまでも含めて自己の学習、というスタンスがみられたのが印象的でした(この話はまた別記事にでも書こうと思います)。
話は逸れましたが、オンラインレッスンでの内容に戻ります。
すごろくの後は教科書のエクササイズをしました。絵をみて何がどこにある(例:There is a big sofa in the middle of the room.)とか、二つの絵をみて違いを言い合ったり(例:Jon’s table is bigger than Ken’s table.)など、英語の教科書で出てきそうなアクティビティをやりましたが、こういったアクティビティは問題なくオンラインでできます。
比較級(AはBより~だ)のエクササイズ。二つの絵にあまり違いがなくて文章つくるのに困るやつ
ただ通常のクラスみたいに教科書を見せ合うことはできないので、万が一教科書が手元にない人(自宅なのでなさそうですが)のために、先生が該当ページをスキャンして配布しておけば、スクリーンシェアリングで全員が見ながらエクササイズをすることが可能です。
日本の教科書はわかりませんが、海外の英語教材(HEAD WAYとか)はPDFかwordのデータが別にCD-ROMでついてるので、語学学校とかはそれ使ったら授業しやすそう。
最上級(Aは~の中で一番長い、高いetc)の文章をつくる練習で、「世界で一番長い川は?」とか「フィンランドで一番深い湖は?」というクイズ形式のエクササイズがあって、そのときにはGoogleで調べてその結果をスクリーンシェアリングしたりしてみんなですすめました。すぐに調べて情報共有できるのはとても便利ですね。
ZOOMのこのグループ化できる機能は大変便利です。先生がどのグループに顔を出すか決めれるのですが、参加者サイドには手を挙げるボタンがあるので、質問があるときにこれを押せば先生が回ってきてくれます。
グループでのエクササイズが終わったら、先生がまた全員を集めてリスニングの練習をします。
この全員が集められた画面では、デフォルトが参加者全員ミュートになっています(先生側で一括管理できる)。うちのクラスでは悲しいかな誰も顔出しせず、真っ暗な背景に名前が書いてあるだけなので、参加者が自らミュートを解除して発言しなければ、先生が一方的にしゃべって誰も聞いていないかのような雰囲気が流れてしまいます。。
そんなとき、ZOOMには拍手やサムズアップといった反応ボタンがあるので、これを押すことで発言せずとも聞いているアピールをすることができます。先生的にもやりやすいこと間違いなし。
ZOOMミーティングの様子
だいたいこんな感じで2時間の授業が終わります。このような生徒主体のアクティブラーニングは参加者の自立度と参加度に大きく左右されるので、大学生や高校生にはよいですが、中学生や小学生には特に先生のファシリテートが必要になると思います。
そもそも小中学校(高校も)でどのくらい双方向型のオンライン授業が取り入れられるかはわかりませんが、実施する場合には10~15人のグループに小分けして実施することをおすすめします。
ZOOMでは最大100人(無料版)繋がることができますが、一クラスを一回でするのは、通信速度や先生のファシリテートの観点からも負担が大きすぎると思います。
また、電波が悪くて全員で会話をするのは難しいこともあるので、QuizletやKahoot!などのクイズアプリやPadletなどのデジタル掲示板を活用して、バーチャルで繋がりつつ会話以外の方法でのアクティビティを組み合わせるのもよいかもしれません。
これらのデジタルツールについては別記事で説明します。
※ZOOMはセキュリティの脆弱性も指摘されています。私のとっているコースは全てZOOMで行われていますし、今のところ問題はなさそうですが、使用する際にはご注意ください。