『In Stars And Time』のデモ版をプレイして、発売に備えよう!
ある日、Twitterのタイムラインにこんな投稿が流れてきた。
見るからに海外インディーゲームの作風に、モノクロで構成される古き良きRPGの文脈を感じさせてくれるUI。
私はゲームが好きなので、こういった情報発信アカウントをフォローして、面白そうなゲームを発掘してはプレイするのが趣味だ。
でも今は積んでるゲームあるからとりあえずいいねだけして、後で他の記事とまとめて……
すげーかわいいキャラいるじゃん!!!!!
In Stars And Time、やります!!!!!!!!!!!!
ゲーム紹介
海外の開発する(日本語対応)ゲームで、王道RPGにループものが合わさった、近年ではよく見るような設定。
対応機種はsteam、Switch、Playstation4・5などが予定されている。
11月21日に正式リリースを控えた絶賛製作中の作品であり、現在はトレイラーやデモ版が公開されている段階なので、配信されていたデモ版(無料)をDLして遊んでみた。
1時間前後で終わるような導入部分のみ公開だったが、それでもゲームの特色は十分把握できた。
あとBGMがピコピコで良曲揃い。
キャラクター
シフラン
このゲームの主人公(ノンバイナリー)。
お茶目で悪戯っぽい笑顔がチャームポイント。
死ぬたびに特定の日に遡り、同じ時間をループする能力に目覚める(?)。
選択肢で色々喋ることができるが、いらんことしいでよく怒られている。
ミラベル
元々城で働いていたメイドの女性。
神の祝福を受け、止まった時間を解除することができる重要な人物。
心配性でお節介なところがあり、お城の中で時間が止まったままの同僚たちを心配している。
漂うヒロインの風格。かわいい。
イザボー
力自慢の元兵士の男性。
罠だらけの城を突っ走ろうとしたり騙されやすい単調な性格だが、悩んでいるシフランを気に掛けたりと優しい性格。
シフランと一緒にギャグを言って場を盛り上げるムードメイカー。
戦闘中も味方の攻撃…ではなく防御を上げてくれるなど、仲間想いな側面が強調されている。
オディール
皮肉屋で理知的な、何かしら(絶対教えてくれない)の研究をしている女性。
パーティ最年長で、一歩下がった所からみんなを見守る母親的存在。
いつも分厚い魔法書(?)を持ち歩いている、魔法使い的なポジション。
明晰な頭脳を活かして、敵の情報を分析してくれたり、全属性の技が使えたりする。
ボニー
危険な旅になぜか同行する子供(ノンバイナリー)。
このパーティはボニー以外成人した大人なので、ボニーはみんなにかわいがられている。
お弁当当番として活躍。
子供なので戦闘には参加しないが、2ターンに1回、ランダムに行動して戦闘をアシストしてくれる。
立ち絵の差分や戦闘中のモーションなどグラフィックが結構な数あるので、見ていて楽しい。
デモ内では使用されていなかったが、トレイラーでは動画が流れる。憩いの一時での笑い方や戦う時のスタイルなどから、それぞれの性格の違いが一目でよくわかる作りがされていた。
豊かな会話
『In Stars And Time』は、始まりの村から旅立ち仲間を集め…ではなく、最終ダンジョンに乗り込むところから物語が始まる。なのでみんなレベルが45だったり範囲技を覚えていたりで普通に強い。
それだけでなく、様々な苦難を乗り越えた上での現在なので、既にみんな仲がいい。
ダンジョン内の棚や机の上などのあらゆるオブジェクトに、海外特有のテンポの良い掛け合いや、小粋なジョークのテキストが至る所に散りばめられている。
時には、重要でないけどキャラ同士の会話を見られる遊びアイテムも。
そういったテキストの中で、それぞれの出身地の名前や風習、宗教観などに触れられて、プレイヤーはなんとなく彼らのプロフィールやゲームの世界観について知ることができる。
短いデモ版だったが、それなりの量のテキストでかなりキャラクターに愛着が湧くことができた。製品版ではどこかのタイミングで各キャラの過去回想を挿入してほしい。真面目にお願いします。オディールのパーティ加入時のアレやコレをオタクに見せてくれ。
わかりやすい戦闘システム
本作では「ジャンケン」がそのまま属性になった、いわゆる三すくみゲー。ジャンケンを知らない人は多分世の中にいないので、直感で理解しやすいシステムだ。
キャラクターと敵自身、そして使用できるスキル「クラフト」にはそれぞれ「ペーパー」「シザー」「ロック」の属性が割り当てられており、相手の弱点を突くようなクラフトを駆使して戦っていく。
敵の属性は、味方が敵のスキルを喰らった時の表記(無表記・WEAK・RESIST)か、敵イラストの「手元」を見ることで判別がつく。
上記画像の敵は手元が「チョキ」なのでシザータイプ。ロックのクラフトで殴れば有効なダメージを与えることができる。
このゲームにはMP(マジックポイント)に相当するものがないが、同じクラフトは連続して出すことができず、ある程度のクールタイムが必要。
また、同じ属性で5回連続攻撃するとボーナス攻撃が発生し、追加で大ダメージを与えることができる。
戦闘の進行は、HPゲージの下にあるバーが溜まった順に行動できる。
また、本作はシンボルエンカウントなので必要がなければ戦いを避けたり、戦闘から逃げ出すこともできる。
これもよくあるRPGのシステムなので、何度か戦闘すれば勝手もわかるだろう。
しかし単調なだけではなく、手元の見えない敵、特定の攻撃しか効かない敵など特徴のある戦闘もあって、そういった敵にはある程度戦略が必要になる。
バフ技やデバフ技を駆使して進んでいこう。
一人ループを繰り返す、孤独な旅路
初めてループを経験するシフランを描いた当作品とは別に、そのプロトタイプ作品である『START AGAIN: a prologue』(有料)が配信されている。
そちらでは、シフランが既に何度かループを繰り返している状態の場面が描写されている。
そこでは、仲間にループしていることをひた隠しにして、それを悟られないよう何でもないふりをして、無理やり笑顔を貼り付けるシフランの姿を見ることができる。
死ぬたびに同じ場面を繰り返す内に、死の結末を変えようがないかもしれないと悟ったシフランは、内心ではとっくに疲弊しきっていた。
プロトタイプと現行のデモ版では異なる設定もあるが、恐らくこの「ループを悟られないように慎重に行動する」という描写は、製品版でもあるだろう。
必ず死ぬという結果を何度も突き付けられながら、それでも投げ出さず、王を打ち倒す勇者として、何も知らない仲間たちと度重なるループで反応の判り切った会話を交わしながら進んでいく。
なぜシフランは、頑なに一周目の再現をしようとするのか。
時には王の強大な力に殺されながら、またある時には王の元へ辿り着くこともできないまま、変えようのない死という事実に何度も向かっていく理由。
それは全て、「必ず王を倒す」という決意を胸に前向きに歩んできた仲間たちを、「必ず失敗に終わる」という事実で失望させないためだった。
つまるところ、シフランは責任感が強く、仲間を思う気持ちはそれ以上に強いという、典型的な主人公キャラクターなのだ。
ここまで書くと分かると思うが、全てのオタクは「責任感が強く全てを背負い込みその重圧に潰されそうになっても、大切な人のために一人で困難に立ち向かうキャラクター」が大好きである(主語デカ)。
シフランというキャラクターを知ってしまったら、オタクにはその結末を見届ける責任が生まれる。
シフランは負のループを脱却して、王を倒すことができるのか?
なぜシフランはタイムループという力を得るに至ったのか?
RPG、特に最近のインディーゲームは世界的に大ヒットした先輩作品が多数いて、目の肥えたオタクたちから年々求められるハードルも高くなっている。
『In Stars And Time』には、プレイヤーを驚かせるような突飛な演出が(少なくともデモ版には)あるわけではないが、愛着の持てるキャラ造形のための工夫が随所に盛り込まれている。
そういった努力を怠らないゲームは、個人的に良ゲーであることが多いため、デモ版という短い描写の中でそれを存分に見せつけてきたこのゲームもそうであると確信している。
In Stars And Time、11月21日配信開始です。
孤独な旅人シフランの行く末を見届けよう。
製品版リリースまでにできることは?
現在、『In Stars And Time』のデモ版、そのプロトタイプである『START AGAIN: a prologue』と、DLCとしてアートワーク(有料)が配信されている。
アートワークには、キャラクター開発小話や簡素なプロフィール情報が載っている。
『In Stars And Time』をウィッシュリストに突っ込んだら、まずデモ版をプレイしてみて、シフリンとその仲間たちの供給が来るまで耐えきれなくなったらプロトタイプ版とアートワークを別途購入しましょう。
『In Stars And Time』
『START AGAIN: a prologue』