600万ツィート
5/11.2020 皆様おかわりありませんか。このところ、なんだかとても落ち着かない。仕事をどうするか。暮らしをどうするか。庭仕事をどうするか。何もかもが変わりはじめている。
先日、近くを散歩していたら、美しいハーブの花が一面に咲いていてあっと驚いた。ボリジ。誰かが植えて世話しているのだろう。折しもこの花はヨーロッパでは解熱に使われてきたという薬効のあるハーブ。
今は一番美しい季節。雨も少なく、天気もよくて。鶯が泣き、燕が飛ぶ中、何時もなら庭仕事に精を出している。しかし今年はそんな気にもなれずにずっとTwitterでコロナ周辺の情報を追いかけている。庭に居てもコレは手に取れるから気が散ってちっとも捗らない。
昨日からTwitterでは「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグが弁護士の先生方を中心にさかんに呟かれはじめた。先程、とうとう600万ツイートまでいったようだ。1日たらずでこのような数字まで行ったのは、前代未聞ではないだろうか。
このツイートをはじめたのは、笛美さんという一人の女性だ。5/8 19:40、彼女は「1人でTwitterデモ」というタイトルでこの「#検察庁法改正案に抗議します」と呟いた。それがはじまりだった。
昨日。土曜日の深夜。ほんの数十分で5万、10万ツイートと増えていって驚いた。日曜朝の段階で120万ツイート。日曜お昼13時くらいで300万を超えた。
法関係者からの投稿が主だと感じられた呟きはどんどん大きくなって、中学生や高校生もそれに気づいてツイートしだした。どれだけ多くの人が危機感を持ったかよくわかる。Twitterをこっそり(?)されているみなさんは、きっと私と同じ様に驚いてその様子をご覧になったことと思う。
466億もの予算計上のアベノマスク。請負った会社はタックスヘイブンの住所。大企業へは4兆円もの返済不要の支援金を計上。ライフラインは全て整い何の不便も感じない私達は、幾ら税金が溶けてても気にならない。
三権分立を壊す検察庁法改正法案は5/13日に衆議院を通過予定、農家の自家採種を制限する種苗法改正案も週明けにも審議入りするという。
種苗法。自家採種を禁じることで守られる品種もあるだろう。美しく甘く病気に強い苺とか。しかし、限定的にといいながら、制限対象になる品目は増えていると聞く。
自家採種が禁じられれば、その銘柄の種は種苗業者から買うことになり、資金の無い農家は廃業に追い込まれ、大企業が農業を独占。農産物の価格は高騰して、一部の人にしかリアル野菜は食べられなくなってしまうかもしれない。かもしれない。SFみたいに。
『鋼鉄都市』(アイザック・アシモフ著)というSF小説に、バイオテクノロジーの技術で作る食品というのがあったと思う。確かイーストをぶくぶく泡立てて野菜や肉の様な見かけに整形するんじゃなかったか。そして一部の人にしか本物の食料は手に入らない。
だいたい、今だってよくよく考えてみれば、SFっぽい食べ物は色々ある。オレンジジュースと書いてあっても、黄色い着色料が付いているだけで、砂糖と水と蜜柑の人工香料でできていたり。なんの肉ででできてるかわからないハムとか。
そういうバリエーションが増えると思うとぞっとする。ほんとうに美味しいものを好きなだけ食べていたい。ちゃんと木になった果物や、土から生えてて陽に当たって育った野菜。
当たり前のものが当たり前に手にできなくなる日が来たらどうしよう。
:
久しぶりにTVをつけてニュースを見ても、Twitterのデモのことなんて、誰も話していない。
絵を描くのも、歌を詠むのも、庭仕事をするのも、国が安定していてこそ。私のような種類の人間のすることは、美術や工芸、或いは美味しい食、歴史文化に関わるみなさんの仕事は、国が安定していてこそ居場所があるものだから。コロナが終わったとして、あるいはコロナと共存の道が開けたとして。ほんとうに私たちの居場所は残っているだろうか。
偶然知り合った人に、バナーを作って欲しいと頼まれたのがきっかけで、幾つか作ってみている。専門外だけど。なにかできたらと思って。
こんなもの作らなくてすむ政権であってほしかった。こうなったのは私たちの責任でもあるけれど。
(バナー:どんなキャッチがいいかもわからない。「三権分立もソーシャルディスタンスで」は他の方からのリクエスト。気が利いてる。)
:
今日の朝、大手新聞社の一面にこの法案の件と、人々の絶え間ないデモの様子は掲載されるだろうか。芸能人や著名人も呟く、とかそんなタイトルだろうか。もはやなんでもいい。
-
ボリジ(Borage)ムラサキ科の植物で、ハーブの一種。中世には騎士が闘志を高めるため煎じてハーブティーとして飲んだという。今は科学的な分析によってアドレナリンが出ることがわかっている。フランスでは花と葉で煎じ薬が解熱に使われている。花はマドンナブルーと呼ばれる。蜜源植物としても栽培。
ミヤマガマズミ(深山莢蒾、学名:Viburnum wrightii )は、レンプクソウ科ガマズミ属の落葉低木 秋に赤い実をつける。
親しくしていた美しい谷を持つ農家のお爺さんは、この花が咲くのを目安に田植えの準備を始めると話していたのを思い出す。
※この記事はFacebookに投稿したものを転記しています。
彼女はnoteでこの件についての記事を公開されたので、ここに紹介する。