『その瞬間、形と成る』 著者:9月のワンピース
教えてよ、ねえ教えてよ、君のこと。
君はどこを見ているの?
未来に何を望んでいるの?
人間って面白い?
ねえ、面白い?
形あるものは好き?
楽しいねえ、おかしいねえ。
僕のこと教えて欲しいって?
もちろん、いいよ。
その代わり、君のことも教えてね。
僕は形がないんだ。
存在しない訳ではないよ。
形はないけど存在はしているの。
ん?難しかった?
ごめんね。
もう少し簡単に伝えるね。
君たちが言ってる「心」と似ているよ。
確かに存在しているけど
どこにあるのか分からない。
僕もそんな感じかな。
君は、確かにそこにいる。
羨ましいなあ。
僕も形になってみたいなあ。
形ってどんな形なんだろう。
楽しいのかな。
ねえ、どんな気分?
なんで形になってるの?
自分から形になったの?
僕はね、ここにいるよ。
そう、ここに。
君には見えないかもしれないけど
感じてよ。
僕はね、君になりたい。
形あるものはいつか
無くなってしまうって言うけど
僕はそれでいいと思ってる。
もともと形がないからね。
無くなることは怖くない。
どちらかと言うと
形になれない方が怖いかな。
君には理解してもらえるか
分からないけど
形が壊れていく瞬間を見てみたい。
君にいなくなって欲しい訳ではないよ。
ただ、見てみたいだけ。
何なら僕自身が壊れていってもいい。
美しいんだろうな。
僕も君のように思うんだよ。
儚さとは何だろうって。
どこかに行ってしまいそうな存在。
今にも消えそうな存在。
どっちも形あるものだね。
僕は形がないから儚さなんて
これっぽっちもないよ。
想像したことある?
形になることもなく
目的もなく、夢もなく
希望なんて、もっとなく
ただ、ここを漂流しているだけ。
始まることもない、終わることもない。
空っぽなんだ。僕。
君は形を苦しみと思っても
僕はね、その形にすらなれない。
君は自分のことをどう思ってるのか
僕には分からないけれど
僕は君のこと、知りたい。
もっと教えて。
君が形じゃなくなる前に。
何でこんな風に思うんだろう。
おかしいねえ、楽しいねえ。
※まるをかきたい時
※パターンBに進みたい時