レシート、ポリ袋、そしてチラシ
盆が過ぎ、夏が終わる予感がしている。涼風が吹きつけるなか、自転車を駆り河原町まで秋を待つための本を買いに行った。自室の本棚にはいまだ読まれていない本がたくさんあるというのに、新しい本を買うというのか? そうだ。読みたい本は気分によって変わる。これはおよそすべての本読みにかけられている呪いだ。
北から吹く風により、行きはたいへん楽だった。しんどいのは帰りだった。引きこもりがちだから体力もなく、自宅の鍵を開けるのに手間どるくらい疲れてしまっていた。自室につくと鞄を放り投げ、中からいくつかのポリ袋を手に取り本たちを取り出す。そしてベッドの上に並べて、しばらく悦に浸る。ふと部屋を眺めると、いくつものレシートといくつかのポリ袋、そして読まれもしないチラシが散乱している。物を買うのが嫌なのはこの光景がめちゃくちゃ嫌いだからだ。レシートもポリ袋もチラシもいらない。本だけ売ってくれりゃそれでいいのによ。
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