何でも検索可能! 岩手日報の「電子縮刷版」はスゴすぎる
前々回の記事で、1974年度(昭和49年度)九戸村交通安全標語コンクールの結果を報じた岩手日報1974年11月27日付朝刊の記事を紹介しました。
これを探すことができたのは、岩手日報「電子縮刷版」があったからです。これ、本当にすごいです。
通常の新聞で昔の記事を探すには、紙面の現物や紙の縮刷版、マイクロフィルムなど、とにかくそれを1ページずつ見ていくしかありませんでした。
朝日新聞の記事データベースは1879年(明治12年)1月の創刊号からの記事も検索できますが、これはキーワードをデータベース側で設定しているため、例えば「真下聡」のような言葉での検索はできません。
紙面全体の文字を読み取り→検索可能
これに対し、岩手日報の電子縮刷版は創刊号からの紙面をOCR処理しています。OCRとはOptical Character Recognitionの略で光学的文字認識の意味です。つまり、紙面全体をスキャンして文字を読み取っているため、あらゆる言葉での検索が可能なのです。
岩手日報の創刊は明治9年7月21日で「日進新聞」という名称でしたが、この紙面からずっと、紙面として保存してあるものについてはOCR処理されていてどんな言葉ででも検索できるのです。これは大変なことです。
ただし、簡単に利用できるわけではありません。
岩手日報のホームページの案内を見ると、この電子縮刷版、明治・大正の51年分だけを購入して利用しようとするだけで税込み価格は何と1178万円! 明治から令和4年まで、現在の電子縮刷版のカバーする紙面を全部購入すると3000万円を超えるのです。一般の人が使える金額ではありません。ネットで使用料を払って使うというシステムにもなっていません。
しかしご安心を。こんな時の強い味方が図書館です。
岩手県立図書館なら無料で利用できる
盛岡市にある岩手県立図書館なら無料で使えます。東京の国立国会図書館にも入ってはいるようですが「利用不可」となっています。
私が岩手県立図書館で利用したのは4月のこと。パソコンで操作するのですが使えるのは1台のみでした。操作はとても簡単。プリントも可能です(有料)。他に利用者がいれば1時間で交代となりますがいなければ延長が可能でした。
まだ知られていなかったので利用者は私だけ。2日間にわたり数時間ずつ使い、興味深い記事をいろいろ見つけてきました。
岩手県のメディアのみなさん、これを活用しない手はありません。
全国紙や他の地方紙も同様の形になることを切に願います。