推しのボカロPについて
ボーカロイドの歌に触れるようになってから、常に曲を楽しみにしているボカロPさんがいる。
そのボカロPさんは生放送をするとき、炬燵に座りPCの傍らには【人間椅子】と書かれた湯呑みが置いてあった。
弾き語り枠では「ズンドコ節」を
氷川きよしバージョン
ドリフバージョン
軍歌バージョンをそれぞれ解説しながら、弾き語っていた。
「怪異物怪音楽箱」「女学生探偵シリーズ」「妖怪少年探偵団シリーズ」などの代表作を生み出した彼の名は【てにをは】という。(Pは付かない)
和風曲のイメージが強いと言われる【てにをは氏】だが、曲のバリエーションは実に多種多様である。
時には自身で絵を描き、動画を作り、小説も書く。
そんな【てにをは氏】の魅力とは何だろうか。
かつて「てにをはクラスタ狩り」で遊んだ自分が、思いつく限り書いてみようと思う。
【言葉選びが秀逸】
てにをは氏の楽曲において、てにをは氏らしさを引き出しているのはやはり歌詞における言葉のセンスだと思う。
これは当人が語っていた話だが
古書屋敷殺人事件における
「袋小路を袋とじ」は袋小路という逃げ道がないうえにさらに袋とじをしてしまう。
秀逸だ。
個人的にはfireflyという曲の
「最初の恋は6月によく似ていたよ」
というフレーズ好きです。
【曲のノリが楽しい】
特定の曲に限りと付け加えるが、歌っていると楽しくなるものもある。
ただし言葉の並びが秀逸な分難易度は高い。
こんな曲を楽しそうに歌えるボーカロイドはつくづくすごい。
【てにをは氏も歌が上手い】
歌ってみたなどの動画は投稿していない【てにをは氏】だが、実に聴き惚れる歌声の持ち主である。
生放送ではよく弾き語りを披露していたが、自身の好きな曲を歌っていると困惑する視聴者も増えたため、最近は自身の曲を歌うことが多い。
そんなてにをは氏が歌った曲はCDアルバム【女学生探偵VS冥探偵】に2曲収録されている。
ちなみに私はそのアルバムの【抱いて溶かして】という曲がめっちゃ好きだ。
【なぜてにをは氏の作品が好きなのか】
これは個人的な話になる。
私がてにをは氏の曲を知ったのは「怪異物怪音楽箱」からである。
非常にノリの良い曲で、歌うのに苦労したのも懐かしい。
そこからてにをは氏の曲を漁ることが始まった。
【キミヲセニ】は、背景の世界観が実に素晴らしく【浮雲】では恋の結末の先にいる女性の視点が見事だった。
【胎児孕む胎児】では、独特のらしさを醸し出しつつ、言葉のセンスが素晴らしかった。
【Dystopia】という曲を聴いた時、痛いほどの想いと無常を知った。そして当時澱んだ感情を抱えていた自分にとって「どんな感情でも、抱えること自体は悪いことではないのかもしれない」と思うようになった。
存外【てにをは氏】は文豪気質なのかもしれない。
そんな彼が紛れもなく表現者であることは言わずもがなである。