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藤原征矢著「クールフェイス5巻 ラストフライト」レビュー
さあ、個人的に長年積読であったこのシリーズも、いよいよ最終5巻へ。
冒頭からいきなりスパルキア軍との全面戦争、イレリア王国の戦況は超不利です。
今までと比べて、話の展開スピードが早い早い。これ、5巻で終わらすために当初のプロット縮めたのかしら?
レニーの知略により一時的な勝利はあるものの、結局兵器性能の差で首都レイファスは早々に陥落してしまう(武装ヘリの奇襲、エリカのバズーカで撃破のシーンは圧巻)
キャリー皇后の降伏決定により、イレリア王国は敗北。住民被害は最小限で済むものの、このままではリデル陛下も戦犯として処刑されてしまう。そこで幼き女王を連れ、アルカディア(1巻の舞台)神殿に落ち延びるレニー達。
が、奪った飛行艇をあっさり探知されて、レアルフ参謀&ガルディア総督の追跡部隊に見つかってしまう。
ここが中盤バトルの山場。なんとレギュラーキャラのマフィ、激戦の末に弁慶の立ち往生で死す!(いやまあ、そう思ったんだけど実はラストで・・・)
追い詰められたレニー達だが間一髪、1巻でも搭乗したスペースシャトルを使い、宇宙ステーション「ノア」へ脱出。
ところが、敵のガルディア総督も単身乗り込んでしまい、肉弾戦になるもなんとか捕縛。その後、ロボット少女・カリストによって旧文明滅亡の顛末と地球の現状を知る事に。
クライマックスは、軍事クーデターが起こったスパルキアで、イレリア首都に向けて秘蔵のICBMが発射。着弾すれば気候変動で、エルガイア大陸自体が不毛の地になる。そこでレニー達は、超能力少女リアの力を借りて弾頭迎撃にかかる、という流れ。全員で協力するシーンは、なんかガンダムのニュータイプっぽいね。
一方、無人宇宙ステーションで同胞の改造猫達と残留生活することになった銀猫シルバと妹の憑依霊ナナ。ミサイル撃破に向かうシャトル内で、テレパシーを用いた妹との別れは感動的。お互いに「さようなら」を言い交わすレニー兄妹にホロリです。
最後のエピローグは随分と大団円な感じに。絶対倒すと思ってた男装軍人ガルディアも可愛くなっちゃって。皇后含め、メイン全員生存だし。
つーか、イレリア王国は結局敗戦国→民主化の流れなのね。主人公の国が負けるのは当初予想してなかった。レアルフがずいぶん穏便に運んだ感じだけど。
あと、4巻で消息不明だった深雪やセレーネの弟くん生存も意外だったかな。
一つ気になるのは、結局老猫シルバの憑依霊こと、亡き妹ナナの正体が曖昧で終わったこと(本物の霊? レニーの幻覚? それとも猫の意識体?)ここははっきりして欲しかったなあ。ぼかしたの意図的だろうけど・・・
(宇宙ステーション内で交信出来なくなってたから、霊や幻覚というより猫の特殊能力である確率が一番高いかも、いやわからんけど)
そして終戦後、主要メンバー陣はイレリア船団で海洋探検へ行くことに。
しかしレニーよ、大航海の旅路でも、今まで同様ハーレム状態とは羨ましいぞ(ガルディアまで来るんかい!) 結局、どの娘にするんだい?