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新型コロナ感染・ワクチン報道に見る「誘導」と「思考のクセ」(認知バイアス)を考える②

 今回から本題に入ります。私たちはどのようにして新型コロナ感染やワクチン報道に「誘導」され、「思い込み」を植え付けられ、明らかにおかしなことがあっても疑問を持たないという思考停止状態になってしまったのか、その辺について話をしていきたいと思います。


①繰り返し伝える

 新型コロナ感染症で緊急事態宣言が出され、志村けんが亡くなったニュースだが大々的に報道され、世の中のすべてが一変してしまった2020年のコロナによる死者数はどれくらいだったかご存じですか?アメリカでは34万人の人が亡くなっていますが、日本では3,460人だけです。つまりアメリカに比べると100分の1に過ぎないのですが日本では連日大騒ぎをしていました。
 では問題です。同じ年に転倒・転落事故による死者数は、コロナで亡くなった人の数よりも多いでしょうか、少ないでしょうか。

 A、多い    B、少ない

 少し考えてから答えを見て欲しいのですが、その年の転倒・転落事故による死者数は9,580人ですから、コロナによる死者数よりも3倍近く多くいました。ちなみに孤独死した人は4,448人とコロナによる死者数の約1.3倍、また自殺者数に至っては21,081人ですから、こちらは6倍以上の死者数です。しかしほとんどの人は、コロナのことで頭がいっぱいで、孤独死はもちろんのこと、実際にはそれよりも何倍も死者数の多い転倒・転落事故や自殺に関してはほとんど関心を向けませんでした。

利用可能性ヒューリスティック

 ここには「ヒューリスティック」という、人間の間違った思い込みを形成する心のクセ(認知バイアス)が関与しています。この思考のクセは、すぐに思い出せることやインパクトがあることなどは、あたかも数や頻度が高いことであるように思ってしまうクセです。転倒・転落事故や孤独死、自殺などは、取り立てて珍しいことやインパクトのあることでもないため報道されることはほとんどなく意識されることもありませんが、実際にはコロナの死者数よりも多いのです。またマスコミが、毎日、毎日コロナの感染者数が増えたとか、今日何人死んだとかいう過剰なまでの報道をひっきりなしに流してたので、いやでも死や感染という言葉を聞くと、すぐにコロナによる感染症やそれによる死を思い浮かべてしまい、あたかもそれでたくさんの人が感染し亡くなったという思い込みが形成されていったのです(利用可能性ヒューリスティック)

感情ヒューリスティック

 さらに志村けんという有名人が亡くなると、本来であれば死者の1人にカウントされるだけなのですが、一般の人が1人亡くなったのとは桁違いにインパクトがあり、これによりコロナに対する不安や恐怖も大きくなり、あたかもコロナによりたくさんの人が亡くなっているような印象を強く与えるのです。このように感情に基づき判断してしまうのが感情ヒューリスティックであり、これも心のクセのひとつです。

コロナだけが特別扱い

 他の感染症で亡くなった人の数を見ても、いかにコロナによる死者数だけが特別扱いされていたかがよくわかります。例えば、その年に肺炎で亡くなった人は138万人以上であり、コロナの死者数の実に400倍以上にもなります。この事実ひとつ取っても、コロナ報道だけが集中的に繰り返し報道されたことで、私たちが冷静で客観的にものごとを見るという判断力は完全に失われてしまったということがよくわかります。ちなみにこれは洗脳するさいに使う手法そのものでもあります。このようにしてわれわれの判断力は容易に影響を受けてしまうのです。

②実数で表現する

 毎日、全国のコロナ感染者数やそれによる死者数をテレビや新聞では報道していました。例えば、2020年4月7日の第一回緊急事態宣言時には、コロナによる死者数は全国で400人程度でしたが、毎日、各県で何人の感染者が出て何人死んだかを報道していました。このように実際の人数で表現されるとそれなりに多いような気もしますが、大切なのは全体の人口に対する割合の方です。日本の人口を1億2,500万人とすると、400人というのは0.00032%ということになります。要するに人口100万人あたり3人程度ということです。このような数字を見せられると、あまりにも数が少なすぎてほとんどゼロに近い確率と言うことになってしまいます。これだとあまりにもインパクトがないので、パーセンテージではなく実数値で報道する必要があるのです。

基準率の無視

 ここには「基準率の無視」という認知バイアスが関与しています。これはニュースで「本日、新たに12,500人の感染者が確認されました」と報道されると、12,500人という人数に注目してしまい、とても多くの人が感染したと感じてしまうのです。しかし日本の人口を考えると僅か0.01%にすぎず、実際にはそんなに多くの人が感染したというわけではないのです。しかし「基準値の無視」により、あたかも多くの人が感染したかのような錯覚を覚えてしまうのです。

回復した人の数はスルーされる

 また、コロナ感染症の場合、ほとんどの人は感染しても回復します。毎日何人が感染したかという数字はこれでもかと言わんばかりに出されますが、実際には回復して日常生活に戻った人も毎日同じくらいいるのですが、その数字を表に出すことはほとんどありませんでした。これもコロナ感染症への不安や恐怖を過剰なまでに煽るためのひとつの手法だと言えます。

コロナだけが累計表示

 さらに、感染者数や死者数の報道において、なぜかコロナだけが累計表示になっています。統計データというのは1年毎にゼロにもどります。それはインフルエンザやがん患者数でも交通事故による死者数でも自殺者数でも同じです。必ず年ごとに数値を出し統計を取ります。ところがコロナの感染者数や死者数だけは、3年以上にわたり累計者数でした提示されませんでした。当然、年が明けてもゼロにはならず、どんどん増えていくだけであり、それが2年分、3年分と積み重なっていきます。これもいかに多くの人が感染し、亡くなっているかという印象を与えるためのテクニックです。

視聴率とネガティブバイアス 

 なぜ、このようにあえて不安を煽るような報道を繰り返していたのでしょうか。そこにはメディアの戦略も見え隠れしています。つまりテレビは視聴率がすべてであり、視聴率が高ければそれだけスポンサーがついてお金を払ってくれるので、当然視聴率を上げる努力は必要です。そこで利用されたのが「ネガティブバイアス」という、人が持っている思考のクセです。人はポジティブな情報よりもネガティブな情報の方に強く反応する心のクセがあります。だからこそニュースでは事件や事故といったネガティブなニュースが多くなるのです。当然、コロナ感染もいかに怖いのかという不安や恐怖を煽れば煽るほど視聴率が稼げるというわけです。
             イラスト:子英 曜(https://x.com/sfl_hikaru


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