【読書記録】2024年5月5日〜5月11日
みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。
唐突ですが、皆さんは本の「帯」はどうしていますか?
①つけたままにする。
②外して大事にとっておく。
③とっととゴミ箱行き。
私はなんと③!
もちろん出版も商売だから売れてなんぼ。
出版不況とは言っても毎年何万冊も刊行されるわけだから、お客さんに手に取ってもらえなければますます先細り、だから手に取ってもらうための試行錯誤の結果というのはわかっているけれど、あの毒々しい色や、大袈裟な煽り文句がどうも苦手というか、せっかくの書影を台無しにしている気がして…。
だから私はざっと目を通したら、さっさと外してしまいます。
そんな時に困ってしまうのがカバーに直接宣伝文句が印刷されている場合。
例えばこんな感じ。
これ、帯じゃなくてブックカバーに直接印刷、もちろんダブルカバーでもありません。
こういうパターンは前に一度、中山七里さんの〝嗤う淑女〟でもあったんです。でもあの時は期間限定カバーだったので、普通の書影の本も手に入れることができたんですが、今回ばかりは…。
芸術作品である書影と、宣伝広告である帯は別々にしてほしいと思っている一読者の戯言でした。
あっ、一応書いておきますが、本の内容がどうとかいう話ではありませんので。
念の為。
ちょっと面倒くさいオヤジになってしまいましたね。
気分を変えて、今週出会った本たちをご紹介します。
【2024年5月5日〜5月11日に出会った本たち】
⚪️ナイチンゲールの沈黙(上・下)
【感想】
前作〝チーム・バチスタの栄光〟同様、上巻はパズルのピースをザザッとぶちまけた感じ。
主人公は一応田口医師ですが、今回は居眠りばかりしていた猫田看護師が存在感増し増し。しかも小児科病棟の師長だなんて。その他にも「がんがんトンネル魔人」という二つ名を持つ放射線科の島津医師、不思議な歌声を持つ看護師の小夜、アル中のシンガー水落、網膜芽細胞腫で眼球摘出手術適応の少年二人、そうそう忘れちゃいけないウルトラマンじゃなかった、ハイパーマン・バッカス。
前作同様長い肩書きの男・白鳥は未だ登場せず。
小児科病棟が舞台なので、今のところ緊迫の手術シーンはなく、その代わり上巻の最後で殺人事件が…。
まぁ誘いに乗った方が迂闊といえば迂闊だけれど、あれはあれで仕方ない部分も…。
下巻は殺人事件の種明しが主軸ですが、白鳥の登場前に警察庁からデジタルハウンドドッグこと加納警視正&玉村警部補なんて、また色の濃い人たちが現れ、もう頭の中は大混乱。
途中なんだかSF的な展開もあって、付いていくのに多少難儀しました。
医者も人間なので、山内聖美医師のように「仕事とプライベートは区別する」という人がいてもいいとは思うけれど、そういう考え方を全面に出す人には命と直接向き合う科には進んでほしくないと思ってしまいます。彼女が今後2年間の研修でどう変わるか見てみたい。
あと気になるのは謎多き桜宮病院の存在。
⚪️ジェネラル・ルージュの凱旋(上・下)
【感想】
シリーズ第3弾は第2弾の「ナイチンゲール…」と同じ時間軸の物語。
物語の中心はICUの「血まみれ将軍」こと速水医師。そしてその下に付く看護師長がバブル三部作のとき若手だった花房美和看護師。
前作ではあまり存在感のなかった如月翔子看護師は実は陰で爆弾娘と言われ…。
そうそうシリーズ三作目にしてやっと登場した白鳥の部下・姫宮。彼女がまたとんでもないドジっ子で、看護師研修の目的でICUに配属されたものの、「失敗(ミス)ドミノ」なんてあだ名を付けられるほど。
速水医師の悲願、ドクターヘリは飛ぶのか、内部告発文はいったい誰が!?
下巻早々にあっさり業者との癒着を認めてしまった速水医師。では内部告発したのはは誰なのか?これが一番の関心事ですが、そこに至るまでの二つの会議が読み応え抜群。
会議というものは退屈なものと相場が決まっているけれど、この場面が手術場面と同じくらい手に汗握る緊張感。
医療費問題や医療現場の実情と医療倫理の問題など、解説で大森望さんが書かれていた「社会派メディカルエンターテイメント」という言葉が実にしっくりくる物語でした。
最後の最後で失敗(ミス)ドミノこと姫宮の正体が明かされ、一つの恋が終わり、一つの恋が実を結び…。って、あれれ花房看護師は世良先生一条だったのでは??
文庫下巻収録の特別付録もGOOD.
⚪️ジェネラル・ルージュの伝説
【感想】
〝ジェネラル・ルージュ…〟関連の短編3編とその他諸々のファンブック的一冊。
『伝説-1991』は城東デパート火災の日の話で、ここにシンガーの水落が絡んでいたとは。そして猫田看護師がカッコいい!
『疾風-2006』は本編の多重玉突き事故後の対応を三船事務長視点で描いたもの。やっぱり現場に出てみないとわからないことってある。「事件は会議室で起きてるんじゃない!」って感じかな。
『残照-2007』は速水が去った一年後、跡を継いだ佐藤医師が、テレビ取材を通して感じた救急医療の現実の物語。採算の合わない医療行為は淘汰される運命なのか?
この本に収録されている「桜宮市年表」と「登場人物リスト」は、これから桜宮サーガの世界を旅するための重要アイテムになりそう。
⚪️螺鈿迷宮(上・下)
【感想】
〝ジェネラル・ルージュ〟の次は〝イノセント・ゲリラ〟ということで読み始めるも、どうやら桜宮病院で大事件が起こったらしいということで慌ててこちらを手に取りました。
今回描かれるのは桜宮市のいや医療の光と闇。東城大学が医療の光なら桜宮病院は闇。主人公も優秀な医師ではなくて落ちこぼれの医大生。
借金の代わりに桜宮病院の潜入調査を任された医大生の天馬。潜り込んでみるとそこにはあの失敗(ミス)ドミノが!上司の白鳥も皮膚科医として登場し…。この白鳥&姫宮がとにかくひどい。
テーマはシビアなのにこれじゃコメディ。
下巻はコメディ感は薄れサスペンスやミステリ要素が濃くなっていきます。
アンラッキー・トルネードこと落ちこぼれ医大生・天馬の、桜宮病院との関係に唖然。
このエピソードで天馬が桜宮院長から渡されたバトンは実に重い。天馬の今後の成長が楽しみ。
つい光の当たるきらびやかな部分にばかり目を向けがちだけれど、その裏側というか隠されている部分にもきちんと目を向け、想いを巡らせられるようになりたいと思いました。
さて、火種はいつ爆ぜるのか。
⚪️イノセント・ゲリラの祝祭(上・下)
【感想】
新興宗教の不審死事件から始まるシリーズ第4弾の舞台は病院内ではなく厚労省。
医療事故調査委員会立ち上げに関するいざこざに巻き込まれる田口。
召集されたメンバーにはバチスタスキャンダルの被害者家族も!
〝スリジエセンター1991〟で天城に食いついていた医学生・彦根がなんだか偉くなっていて、というか何か企んでいそうでドキドキ。
厚労省をはじめ、警察や司法などあらゆる部署への皮肉全開の本書、これを読んだ関係部署はどう思ったか率直な感想を聞いてみたいところ。
下巻に入りテーマはAi導入から「司法と医療の分離」という難しい話へ。
最後の50ページほどはスカラムーシュ&システムクラッシャー彦根の独壇場。既得権益にしがみつく官僚や、古い法律に固執する司法関係者、警察機構を論破していくのは爽快なのですが、書いてある内容を充分理解できているかといえば…。
彦根が放った「医療という花に、欲にまみれた愚鈍な手で触るな」という言葉が胸を打ちます。
それにしてもほとんど名前だけの登場だった桧山シオンとか極北市の事件、もう、伏線張りすぎ!
」これ名言!
⚪️極北クレイマー
【感想】
ちょうど〝イノセント・ゲリラ〟と同じ頃に起きていた、北の小都市・極北市を舞台にした物語。
地方自治体の財政破綻とそれに伴う公立病院の閉鎖。その陰で暗躍するのは謎の医療ジャーナリスト・西園寺さやか。
地方自治体の財政破綻はいったい誰のせいなのか?
前半の病院の質の悪さとか、後半に登場する病院のサービスの良し悪しを調査しランク付けするという厚労省の外郭団体「日本医療業務機能評価機構」職員の尊大な態度や、難癖とも言える評価項目など、物語を盛り上げるためか多少誇張されている気もするけれど、当たらずも遠からずのことは実際行われている。
自称「クズ医者」の後藤先生がいつかどこかで活躍しますように。
物語の最後に颯爽と登場した世良先生に、まさか「病院再生請負人」なんて肩書が付いているとは。
【まとまらないまとめ】
いかがでしたか。
いやぁ、なんだか書影がカラフル!
今週も先週に引き続き海堂尊ワールド「桜宮サーガ」を堪能。というかそれ一色でした。
海堂さん曰く「各作品単体でも楽しめる」とのことですが、これは年代順に読んだ方がそれぞれのエピソードのつながりや、登場人物の成長なんかがわかって断然楽しめます。
なにせ一つの物語に別の物語を伏線として盛り込んでくるのだから、続きがというか繋がりが気になって気になって…。
これはもうハマったら抜け出せません。
こうゆうのを最近は「沼」っていうんだとか。
もう、ここまで来たら行くところまで行くしかないですね(汗)。
最後に
読書っていいよね。