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【読書記録】2024年3月24日〜3月30日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 待ちに待った桜の季節がやってきました。
 なんでこう「桜」って聴いただけで心がザワザワするんでしょう。
 パッと咲いて、あっという間に散ってしまう桜。
 確かに綺麗なんですけど、なんかこう落ち着かない気持ちになるのは私だけでしょうか。

 テレビやラジオで「今年の桜の開花は3月20日ごろです」なんて言ってたのに、気がつけばもう4月。
 「今年は異常気象かなぁ」なんて思ってしまうけれど、自分が子供の頃、桜の開花って4月に入ってからだったような…。
 例年より遅いとはいえ、今年も桜の季節がやってきました!!
 こんな時期の晴れた日には、桜の木下で読書っていうのもいいかも。
 いや、桜の木を長持ちさせるには根っこの近くは踏み固めないほうがいいと聞いたこともあるし…。
 じゃ、しおり代わりに桜の花びらでも…。
 って、ロマンティックではあるけれど小さすぎて実用性に欠けるし…。

 なんだか浮かれすぎて気持ちがとっ散らかってきてしまったので、一度深呼吸をして今週出会った本たちの紹介に移ります。

【2024年3月24日〜3月30日に出会った本たち】

⚪️落葉

著者 高嶋哲夫

【内容紹介】
 パーキンソン病を患い、鬱屈した日々を送る内藤。還暦を迎えても何とか一人で歩いていたが、ある日街で姿勢を保てなくなり倒れてしまう。助けたのは通りがかりのユーチューバーやゲーム好きの学生らだ。この出会いが内藤に変化をもたらす。病の進行を抑える秘策を彼らと練り始めて……。衰えに抗う人と世を変えたい若者の心の交流を描く感動作!

出版書誌データベースより

【感想】
 パーキンソン病を患う60歳の男性・内藤。彼の目標は「死ぬまで自分でトイレに行く」こと。そんな彼がある日偶然に出会った若者たちと共に、YouTubeを使ってパーキンソン病患者や高齢者向けの体操コンテンツを配信するという話。
 内藤の病気は数値的な云々はさておき一応何とか自分で生活できるレベルなので、まだまだ軽いといえば軽いのですが、これ以上重症になると物語自体が成り立たなくなってしまうので….。
 様々な世代がみんなで協力して一つの目標に向かってそれぞれの個性を生かしながら突き進むというのはエンタメの王道で大好き。

 一番心に残ったのはこの言葉。

「できないことを頑張っても絶望するだけだ、だったらできることを伸ばせばいい」

本文より

⚪️希望のゆくえ

著者 寺地はるな

【内容紹介】
 誰からも愛された弟には、誰も知らない秘密があった。突然姿を消した弟、希望【のぞむ】。行方を追う兄の誠実【まさみ】は、関係者の語る姿を通し弟の持つ複数の顔を知る。本当の希望【のぞむ】はどこにいるのか。記憶を辿るうち、誠実もまた目をそらしてきた感情と向き合うこととなるーー。痛みを抱えたまま大人になった兄弟が、それぞれの「希望【きぼう】」を探す優しいエールに満ちた物語。文庫化にあたり、書下ろし短篇を収録。

出版書誌データベースより

【感想】
 放火犯を疑われた女性と共に失踪した弟・希望を探す兄・誠実の物語。これがミステリーであれば、知られざる弟の素顔が明らかに…。なんて展開になるのでしょうが、この物語は読み進めれば進めるほど希望の人物像がぼやけていきます。
 また徐々に希望の本当の姿や悩み苦しみが明らかになっていくにつれて、誠実も本当の自分と向き合うことになります。
 読みながら以前人材育成に少しだけ携わっていた時に学んだ「ジョハリの窓」なんかも思い出しました。物語のその後を描いた文庫オリジナルの短編〝光〟で、希望が一歩前進できていたのが、本当に良かった。
 不本意ながら登場人物の中では希望の元部下・有沢が自分に一番近いかも。

⚪️ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢

著者 三上延

【内容紹介】
 春の霧雨が音もなく降り注ぐ北鎌倉。古書に纏わる特別な相談を請け負うビブリアに、新たな依頼人の姿があった。
 ある古書店の跡取り息子の死により遺された約千冊の蔵書。高校生になる少年が相続するはずだった形見の本を、古書店の主でもある彼の祖父は、あろうことか全て売り払おうとしているという。
 なぜ――不可解さを抱えながら、ビブリアも出店する即売会場で説得を試みる店主たち。そして、偶然依頼を耳にした店主の娘も、静かに謎へと近づいていく――。

出版書誌データベースより

【感想】
 2年ぶりに新刊が出たということで慌てて積読の山から発掘。
 そうだった、栞子さんと大輔くんの娘・扉子ちゃんはもう高校生だった。
 母に負けないくらい本好きの彼女の前に現れた後輩男子・恭一郎が今回の中心人物で、読み終えてこの2人の今後が気になるところ。
 今回もたくさんの古書が登場しますが、映画のパンフレットがけっこう高値で取引されているのに驚きました。
 登場した本の中で一番気になったのは山田風太郎の〝人間臨終図巻〟。900人以上の有名人や著名人の「最後」がまとめられているなんて….。
 それにしても智恵子さん恐るべし!

⚪️皿の上のジャンボリー(上・下)

著者 蜂須賀敬明
著者 蜂須賀敬明

【内容紹介】(上巻)
 誰もが愛してやまない「焼餃子」はこうして生まれた。至福の一皿を求めて果てなき旅が始まる――。首相暗殺に失敗した陸軍中尉のグンゾーは朝鮮半島にひん死の状態で流され、焼餃子を食べて生き長らえた。未体験の幸福感と美味……この究極の食べ物を世界に広めるのが新たな使命だと気づいたグンゾーは軍を脱走して旅に出る。マンドゥ、蒸餃子、ボーズなど様々な餃子に大陸で出会い、究極の一皿が見えてくる。壮大でハートフルで食欲をそそる、餃子をめぐる大河ロマン小説!(文庫化にともない『焼餃子』を改題)

出版書誌データベースより

【感想】
 第二次世界大戦末期、東條英機首相の暗殺に失敗した陸軍中尉が、偶然食べた餃子に魅了され、究極の餃子を見つける旅に出るというトンデモ小説!
 舞台は韓国、中国、モンゴル。各地を旅しながら、様々な出会いと別れがあり、餃子に似た食べ物を食べ、作り方を研究し…。
 とにかく餃子愛が半端じゃない。もう読んでるだけで口の中に唾液が溢れてきて…。
 上巻は終戦までが描かれるので、今後アジア各地を旅した主人公のグンゾーは日本に帰ってどう餃子を広めていくのかが気になるところ。

 下巻は戦後から高度経済成長期、そして現代に至るまでの長くて短い究極の餃子探求の旅。主人公はグンゾーから息子のタミオに受け継がれます。
 そう、上巻で主人公だったグンゾーは下巻ではほぼ登場しません。
 扱っているテーマや登場人物たちのキャラの濃さから、読み始めはトンデモ小説の類かと思ってしまいましたが、特に下巻での会社の起業から拡大、繁栄そして没落を描く様は、経済小説というかお仕事小説の色合いが強くなっていきます。
 これはぜひNHKの土曜ドラマ枠あたりで映像化してほしい。
 読めば絶対に餃子が食べたくなる一冊、いや二冊です。

⚪️(再読)増補版 おばあちゃんがぼけた

著者 村瀬孝生

【内容紹介】
 混沌をおそれず、この1冊でぼけを丸ごと学ぼう!
 「ぼけの可笑しさ、不思議さ、怖さ、美しさを通して、私たちは人間といういのちの限りない深みに触れるのです」──。詩人、谷川俊太郎さんが、「わたしがボケたさいにはここに入りたい」と願った、福岡市内は認知症の人々が集う「宅老所よりあい」。入所者、通所者、スタッフ、家族が繰り広げる、繊細にして抱腹絶倒日々のすべてを、認知症当事者たちから「おにいちゃん」と呼ばれ続け、ついぞ名前を呼ばれることのないまま20年、の頼りなくもたくましい施設長が語ります。谷川俊太郎氏のエッセイ「ぼけの驚異」や4コママンガを多数収録。書き下ろし「その後も、おばあちゃんは、ぼけた。」を増補。

出版書誌データベースより

【感想】
 超高齢化社会と言われて久しい日本。2000年に介護保険が導入され、地域には様々な施設が建ったけれど、そこで暮らすお年寄りたちが幸せそうに見えないのは何故だろう。
 やはり人員不足が原因なのかヘルパーさんたちの動きをみていると、仕事を「こなす」ことに精一杯で「楽しむ」や「寄り添う」なんて余裕はほとんど感じません。いや中には村瀬さんのように楽しさややりがいを見出している人もいるんだろうけど。
 まずはとにかく村瀬さんが施設長をつとめる特養を見学してみたい。この本はいわゆるジュニア向けですが、介護現場で働く人たちにもぜひ手に取ってほしい一冊です。

⚪️聴きポジのススメ 会話のプロが教える聴く技術

著者 堀井美香

【内容紹介】
 「話が合わない」「沈黙が気まずい」「場が盛り上がらない」こんな時は……話し下手でも主導権を握れる聴き手のポジション略して聴きポジですべてを制す!
・同意も理解も不要
・関係が良くなる3つの相づち
・名詞の使い方で納得感アップ
など、今日からでも実践できる具体的なテクニックが多数◎
大ベストセラー『聞く力』著者・阿川佐和子さんとの対談も収録!

出版書誌データベースより

【感想】
 元TBSアナウンサーによる「聴く」技術をまとめた本。
 いわゆる「傾聴」の理論や技術は控えめ。シーン別の会話のコツや、声質を変えるトレーニング、発声練習から、子音が与える印象の話まで幅広いテーマを扱っています。
 今の世の中「喋ったもん勝ち」「目立ったもん勝ち」みたいな風潮があってこんな中で自分をアピールするのはとても難しいけれど、もしかしたら喋ることより聴くこと、もっと具体的に言えば「相手に上手に、気持ちよく喋ってもらえるように聴くこと」の方が難しいし大切かも。
 私もそろそろ主演ではなく助演男優賞を目指したほうがいいお年頃。そのためにもまずは聴きポジ!

⚪️ディズニーキャストざわざわ日記

著者 笹原一郎

【内容紹介】
 57歳で大手ビール会社を早期退職。「夢のある仕事」を求めた著者がたどり着いた東京ディズニーランド。
以降8年間にわたってカストーディアル(清掃)キャストをして見つめたディズニーランドの「ありのまま」の現実。その笑いと悲哀の記録。

出版書誌データベースより

【感想】
 数ある「実録!日記」シリーズの中で、まず最初に手に取ったのは「夢と魔法の王国」のリアルな現実。ディズニー関連本といえばガイドと感動秘話と社員教育という印象だったのでとても興味が湧きました。
 いくら夢と魔法の王国と言っても遊びに行くゲストもそこで働くキャストも人間なのだから、そりゃ綺麗事では済まされない部分も確かにある。アンチでも心酔でもないフラットな視点で語られているのが印象的。
 色々なエピソードはあるけれど、驚いたのは迷子の子供にかける言葉。この声かけというかちょっとした気遣いは、思わず「なるほど」と唸ってしまいました。どう声をかけるのかは本文で。

【まとまらないまとめ】

  いかがでしたか。
 今週心に残ったのは蜂須賀敏明さんの〝皿の上のジャンボリー〟まさか「餃子」で上下巻、600ページの大作、しかもメチャクチャに面白い、おまけに読了後は無性に餃子が食べたくなる物語は、いわゆるエンタメ小説の醍醐味を堪能できて、心もお腹も満足でした。

 そしてもう一冊、「実録!日記」シリーズは様々な職業の現実が記されているということで、ずっと気になっていました。今回手に取ったのはディズニーリゾートで働く人の話。松岡圭祐さんの〝ミッキーマウスの憂鬱〟を読んだ時にも思ったけれど、読了後の最初の感想が「この著者、オリエンタルランドから訴えられないのかなぁ」でした。
 刺激的な暴露本や潜入ルポみたいなノンフィクションも嫌いではないけれど、なんというかこの本のスパイス控えめのスタンスが、オヤジのくたびれた胃腸にはちょうどいいというか…。
 このシリーズは結構たくさん出ているので、少しずつ読んでいきたいと思います。

最後に
 読書っていいよね。


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