未だに何故か覚えてる話
中学時代、かなり仲のいい同級生の女の子がいた。ここでは仮にNさんと呼ぶ。当時住んでいた場所はめちゃくちゃ田舎で、どの学年も全部で30人前後、各学年1クラスしかないような学校だった。
保育園、小学校からそんな環境だったので実質全員が幼なじみみたいな感じだった。(全員仲良しクラスという訳ではなかったが)
前述したNさんとは部活も同じで、よく一緒に行動していた。Nさんは文武両道といった感じで、めちゃくちゃ勉強が出来て、運動もできて、コミュニケーション能力が高くてクラスの中心にいるような人物だった。生徒会長もやってた気がする。地味な感じの自分がそんな人と仲良くしているのは釣り合わないな〜とは当時から思っていたが、恋愛感情を持つことも無く、お互いにいい友人関係を続ける事が出来ていた。
中学3年のある日の放課後、教室で「これ誰にも話さんといてほしいんやけど...」と、Nさんが話しかけてきた。"後輩のKに告白されたが、振った"という話だった。
Kは同じ部活の後輩で、一つ下の学年の男子だ。と言っても小学校の頃から知っているので、Nさんのなんでも出来る文武両道なところに惚れたのかな〜とか思った。僕達は教室を出て、廊下を歩きながら会話を続けた。
「なんで振ったの?」
と聞いてみると、
「だってあいつカメムシみたいな匂いするじゃん」
と言った。その瞬間、2年生の教室が視界に入る。ドアが全開だった。
え、全員いるじゃん
そう、あまりに静かだったのでてっきり全学年がもう解散してると思いきや、隣の2年生の教室は帰りのHRの時間で先生が話しているのをみんな静かに聞いていただけだったのだ。そんな中、廊下で話していた僕たちの「あいつカメムシみたいな匂いするじゃん」が響き渡り、全員がこちらを向いていた。
その後2人で慌てて走り、教室から離れたあと「今の聞こえてたらやばくね??」と言いながら爆笑した。今思うともし聞こえていたらなかなか酷い話である。
Nさんとはしばらく会っていないが、Kくんとは今でもたまに会うことがある。当時の話を聞く勇気はまだない。