左利きじゃないのに

 私は傘を左手で持つことが多い。自分では気にしたことがなかったのだが、傘は利き手で持つことが多いようだ。私は右利きなので、この法則に当てはまっていないことになる。それに気づいたのは修学旅行のときだった。
 その日は雨が降っていたので、傘をさして歩いていた。すると友達に「〇〇ちゃんって左利き?」と聞かれたのだ。突然すぎて戸惑いながらも「え、右利きやけどなんで?」と聞き返す。そしたら「右利きなのに傘左手で持つんだー」と。考えたことなかった!確かに周りを見渡してみると右手で持っている人が多かった。え、そうなの?うーん利き手が空いてる方が何かあったときに対応しやすい気もするんだけどなあ。でもそういう風に考えて左手で傘を持っていたわけではなかったので、なんで私は逆なんだろうと不思議に思った。
 そしてこのとき思い出したことがある。小学校低学年のころの話だ。ある日急にほうきの持ち方の比べ合いっこが始まり、右利きと左利きで持ち方が違うことに気がついた。だいたいの人が右利きなら右手を、左利きなら左手を上にして持っているらしい。そしてそのときもクラスメイトから聞かれたのだ。「〇〇ちゃんって左利き?」と。お察しの通り、私は左手を上にして持っていた。
 傘もほうきも、特に誰かの持ち方を真似たわけでも教わったわけでもなく、自然とこの持ち方になっていた。傘はたまに右手に持ち替えることもあるけれど、ほうきは手を逆にするととても掃きづらい。不思議だ。二度もこんなことがあるなんて。
 そして先日、ペットボトルの蓋を左手で開けながら思った。これはさすがに私が合ってるやろ!と。だって右手で蓋を開けると左手でペットボトルを飲むことになる。右利きにとってはそっちの方が難しくないか?
 私は早速、同じく右利きの弟に聞いてみた。「ペットボトルの蓋ってどっちの手で開ける?」と。するとまさかの「右手やな」との回答。「え!?じゃあ蓋開けたあとペットボトルを右手に持ち替えて飲むん!?」と聞くと「いや左手で飲むけど」と言う。さらに「左手で蓋開けるのめっちゃ違和感あるわ」と追い打ちをかけてきた。そんな……。またしても私は逆になってしまっていた。
 ちなみに私は両利きというわけでもない。左手でお箸は持てないし、左手で書いた文字は幼稚園児のそれのようになる。それなのに一部分だけ左利きのようになっているのだ。まだ気づいていない習慣のなかにも、こういうことがあるかもしれない。と書いていたら思い出した。ショルダーバッグの持ち方も逆だ。弟や友人によると、右利きなら左肩にひも部分をかけて右手側にバッグがくるように持つらしい。逆だ。私は左利きじゃないのに。

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