友人がいなければ、友人は死なない。
母の友人が死んだ。
彼女は母の看護学生時代からの古い友人だった。母とその友人と、もう一人の友人の三人でサイパンへ旅行にいった話なんかは、これまで何度も聞かされた。よほど楽しかったのだろう。
仲良し三人組のひとりが亡くなったのだから、悲しいに決まっている。
それぞれ大人になって、結婚して、子供を産んで――と人生を歩んでいれば、なかなか連絡できず疎遠になってしまうものだ。母とその友人たちも例外ではなく、年賀状のやり取りと、まれに送られてくるメッセージに返事をするくらいの関係