父親が作ってくれたおでんに入っていた大根が、おでんと思えないほど薄っぺらくて、でもかどは全部とってあって、不器用さと愛を感じた。
「具は全部作った。牛すじは海外産だ、日本産は高いんや。」と言いながら食べていた。
せっかく作るなら日本産の美味しいのを買えばいいのに。と思った。そんな少しの違いが昔は嫌悪に変わっていたけど、今はただ苦笑いを返すだけ。
父は、浴びるようにビールを飲んで、1度の手洗いにハンドソープと水を3往復して、鍵もついてない冷蔵庫の扉を開け閉めしながら施錠確認をして寝た。相変わらず頭がおかしい。
最近心配になる行動や言動が多いが、根は変わっていない。
あしたは5時に起きるね。と言ったら
5時?おきれないよ。起きるかぁ。じゃあ起こすから。と言っていた。頼んでいないのに。
父も妹も、あまり会えない母もみんな幸せになって欲しい。
全員狂ってるけど、誰も傷ついて欲しくない。
ペラペラの大根で心を満たされたから、きっと明日も自分らしくいられる。
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