うつわ 人器と天器 その1

 以前、水の話、水に倣うを記しました。今回は、それを受ける器の世界を覗いてみたいと思います。
 天からの最大の恵みは、水。即ち雨です。雨は大地に隈なく降り注ぎ大地を潤し生命を育みます。古代から、龍は雲を呼び寄せて雨を降らせると信じられています。
 古典落語の世界にも、この様な小噺が在ります。
 「夕立屋〜 ゆうだち〜」「ゆうだち屋でござ〜い」 ヘ〜 おもしれえ商売もあるだと裏長屋の熊さんだかハッさんが「お〜い 夕立屋〜ッ」と呼び止め「こう暑くっちゃしょうがね〜ヤ いっちょ降らしてくんねーな」と依頼すると、夕立屋、忽ちの内に雨を降らす。「おめーさんただ者じゃねーな」と尋ねると「私は、天に住む龍人でございます」との事。「こんな力持ってんのなら夏場は、儲かってしょうがねーだろうな、だけど冬場の商ねぇはどうすんだ」との問いに「冬場は倅の出番です。子龍(こたつ)が活躍いたしやす」という小噺があります。ちなみに志ん生師匠も枕に使われていたようですが。🐉
                                    つづく

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