M&A法務_予防対策フェーズ_平時における買収防衛策(予防策)_M&A法務百科>企業法務大百科
買収防衛策とは、
「敵対的買収(敵対的TOB)に対抗する企業(TOBの対象となった企業)が採用する、TOB実現を阻止するための様々な防衛手段の総称」
です。
買収防衛策には、平時の防衛策(予防策)と、実際に敵対的買収を仕掛けられた時の有事の防衛策(対抗策)の2種類があります。
平時における買収防衛策(予防策)が、敵対的買収防衛策の中心となります。
1 株式非公開化
そもそも敵対的TOBは、株式が公開されていて、
「カネさえ出せば、誰でも買える」
という点が前提となって行われるものです。
その意味では、株式公開自体をやめてしまう、すなわち
「非公開化(going private)」
ほど確実な防衛策はありません。
2 安定株主の形成
また、日本企業が古くから行っている方法として、株の持ち合い(相互保有)や従業員持ち株会や親密な取引先による保有等を平時から実施しておくことによって、安定株主を形成し、敵対的買収に備える、というものもあります。
3 黄金株や議決権制限株式の利用
黄金株とは、会社の重要事項の議決を拒否できる権限がある株式(種類株式のうちの拒否権付株式)をいいます。
(経営陣にとって)友好的な会社に対して事前に黄金株を付与しておけば、敵対的TOB等によって普通株式を大量に買い占められたときでも買収者による合併提案を否決することができますので、黄金株は敵対的買収に対する大きな牽制として働きます(ただし、黄金株を発行しながら上場が許されている会社は、国際石油開発帝石株式会社『INPEX』が唯一です。黄金株式の保有者が経済産業大臣であることからすれば、エネルギー政策上の例外と考えられます)。
また、(経営陣が保有する)特定の普通株式以外の株を全て議決権制限株式とする方法なども理論上考えられますが、公開会社においては会社法上の制限(会社法115条)がありますし、上場規則との関係でも困難といえます。
4 チェンジ・ォブ・コントロール条項(チェンジ・イン・コントロール条項)
M&Aを実施するときには、買収対象企業の魅力ある資産(知的財産や有能な人材等)に着目することが多いと思われます。・・・(以下、略)
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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