ビジネスにおける「起死回生の一発逆転策」の危険性_M&A法務百科>企業法務大百科
企業において、起死回生の一発逆転の秘策が奏功した例はほぼ皆無であり、余計なことをすると却って死期を早める結果に終わる例が多い、というお話を申し上げました。
実際、スポーツもののドラマやヒーローものをみていると、主人公が起死回生の秘策を編み出し、土壇場で一発逆転を行うシーンがみられますが、これはあくまで虚構の世界の話であって、ビジネスの世界ではこのような起死回生の一発逆転劇というのはあり得ません。
破綻間近の企業が無理をして行うその種のプロジェクトは、経験値の無さがわざわいし、ほぼすべて、無残に失敗し、かえって死期を早める結果になります。
というのは、事業というのは、一朝一夕に立ち上がるものではなく、
「発案→企画→試作品の完成→商品化にこぎつけ→営業の成功→取引成約→代金回収」
という長期間の地味のプロセス(しかも各プロセスにおいてそれぞれ相当な試行錯誤があること)によって成立するものだからです。
このような地味で面倒なプロセスを嫌って、楽に結果を求めようとすると、かえって、足元を掬われ、より損害が広がってしまいます。
事業はゴルフというスポーツに似ており、ボギーやダボ(ダブルボギー)しか出せないプレーヤーが最終ホールでいきなりバーディーやパーを連発することはあり得ません。
逆に、実力のない者がバーディーを無理に狙うと、逆にダブルパーやそれ以上に悲惨なスコアでホールアウトするのと同様です。
すなわち、パっとしない企業がいきなり
「国際進出だ」
「大型提携だ」
と騒ぐのは、
「それまでボギーすらとれていないゴルファーが、たまたまティーショットがそこそこいいところに飛んだといってはしゃぎ、それまでまともに当たったことのないロングアイアンを振り回す」
のと、まったく同じ状況で、より悲惨な結果が予測されるのです。
「ご臨終になりそうな企業が一発逆転を狙うと称して手を出して大やけどを負ってしまう」
というストーリーにおいて、登場するお約束のプロジェクトが、3大アイテムが・・・(以下、略)
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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