休暇を与えて残業代をチャラにせよ!_残業トラブル対策法務事典>労働法務百科>企業法務大百科
企業から、顧問弁護士に対して、以下のような法律相談が持ち込まれた場合の助言方針を検討してみます。
相談者プロフィール:
東京テレビ製作株式会社 人事部長 斜見 信一郎(はすみ しんいちろう、37歳)
相談内容:
テレビ制作会社の人事ほどつらい仕事はありませんよ。
世間は、不景気だ、不景気だ、と騒いでいるようですけど、当社のような番組製作会社は、不景気だからといって仕事の量が減るなんてことはありませんが、テレビ局からは、少ない予算で質の良い番組を作れ、なんて無茶なこといわれちゃって、ホント大変なんです。
で、こんな状況を知ってか知らずか、社長からは、人件費を削れ、無駄を省け、ってウルサイし、もうホトホト困っています。
スタッフはみんな、休暇も返上して不眠不休でがんばってくれているのに、今度は、社長が、
「どうせ、8時間でできる仕事をダラダラやっているんだろうし、ロクな仕事をしていないんだから、残業代をケチれ。
残業代を払うくらいだったら、代わりに休ませてチャラにしろ」
って無茶なこといいだす始末。
どうしろっていうんですか、まったく。
もちろん、スタッフを休ませてあげたいのはやまやまですけど、残業代ケチりたいから給料とバーターで休暇を与えるなんてできるはずありませんよね、先生。
社長に、
「そんなアホなこといっていると、労働基準監督署の手入れが入りますよ。
残業代くらい、きちんと払った方がいいですよ」
って教えてやってください。
本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1:平成20年度労働基準法改正
平成20年12月、
「労働者が、生活と仕事の調和を図り、かつ能率的な労働が可能となるような制度を整備する」
とのお題目で、労働基準法の規定が改正され、本年4月から施行されています。
改正のポイントは、主に労働時間に関する部分で、
1 1カ月の時間外労働の時間が60時間を超えた場合の割増賃金率を50%以上とすること(ややこしいのですが、「通常の割増賃金」と割増率と取り扱いが異なるので「上乗せ割増賃金」と言います)
2 「上乗せ割増賃金」部分を休暇に振り替える代替休暇制度の創設
3 有給休暇を「時間」で取得する制度の創設など
かなりメジャーな改正メニューとなっています。
今回のケースは、新しく創設された代替休暇制度が問題となります。
そもそも、雇用者が、1日8時間、週40時間を超える労働をさせる場合、・・・(以下、略)
以下、ご興味のある方は、
をご高覧ください。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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