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企業法務部員として知っておくべきM&Aプロジェクト(15)_M&Aプロジェクトを成功させるためのポイントその9_(C)M&Aプロジェクトの全体的な戦略の合理性(ⅵ)_(e)正しい命令を企画・制作し、正しくデリバリ(発令)する_M&A法務百科>企業法務大百科

物事を正しく進め、成果を出すためには、さらにいえば、M&Aのように
「常識が通用しない、イレギュラーでアブノーマルなプロジェクト」
を成功させるためには、正しい状況認識ができ、正しく目的が定められ、正しく課題がみつけられただけでは、まだ不十分です。

大きなプロジェクトを進めて成果を出すためには、ほぼ例外なく、ヒエラルキー(階層性)を有する組織集団において行われることになりますし、そこでは、指揮命令が適切に伝達され実施されることが必要になります。

・・・(中略)・・・

間違った命令、曖昧な命令を発して現場が勝手に解釈し本来の意図や想定と真逆のことをおっぱじめたりすると、大きなロスやダメージが発生し、命令を遂行した者が責任を問われ、恥をかきますし、そのような誤った命令や、
「広汎な裁量を与え、現場の無秩序な暴走を許し、結果として、好き勝手やってよい」
と無制限の暴走を許す帰結が想定されるような、曖昧で抽象的で多義的な解釈が可能な命令を発した者も、相応のペナルティは受けることとなります。

これら、
「アホなことをしでかした戦犯」
は、場合によっては組織を追われますが、それ以前に、組織自体が崩壊の危機に陥ります。

なお、少し前、日本を代表する国際的大企業(仮に、「T」といいます)においては、トップが、
「多義的な解釈が可能で、現場で好き勝手やりたい放題に、柔軟な運営裁量を内包するような、曖昧で意味不明瞭な命令」
を悪用して、無茶苦茶なことをしていた、という事件が発生しました。

この企業T社では、成績が悪く
「赤点状態」
であったのに、そのまま、スポンサーに報告すると、恥をかいたり、怒られたり、干されたりする、という恐怖感からか、成績の改ざんを上層部主導で行っていたそうです。

上層部は、部下から
「全社一丸となってがんばりましたが、残念ながら、経営環境が厳しく、赤字になっちゃいました」
という報告を受けましたが、これに対して、上層部は、
「チャレンジしろ」
という命令を出したそうです。

おそらく、この会社では、粉飾決算したり、そのための各種データ改ざんをするような
「法を破る」行為
のことを、
「チャレンジする」
という言い方をしていたようです。

スーパーの警備員「奥さん、ダメでしょ。今、商品をカバンにこっそり入れたでしょ。それで、レジを通さず、そのまま帰ろうとしたでしょ。これ、万引きですよ。窃盗ですよ。犯罪ですよ。なんで、こんなことしたんですか? ダメでしょ!」
万引きした専業主婦「すいません。つい、出来心でチャレンジしちゃったんです。犯罪とか万引きとか盗みとか、そんな物騒な言い方はやめてください。まるで私が犯罪者みたいじゃないですか。『チャレンジ』しただけなんですから」
警備員「あんた、何いってんの。何、『チャレンジ』って。あんたのやったことは、ま・ん・び・き。盗み。窃盗。ちょっと前、ほら、近所の堀江さんのとこの奥さんも、出来心で万引きして、ワーワーグダグダいってましたが。最後は、裁かれて、おとなしく、服役されて、今また、元気にやってますよ。あんたも、往生際悪く、『チャレンジ』とか訳わかんないこといってないで、ほら、一緒に警察行きますよ」

といった趣のものなのでしょうか。・・・(以下、略)

以下、ご興味のある方は、

をご高覧ください。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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