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チエのマネジメント(知的財産マネジメント)における企業法務の課題7:企業秘密の意義・特徴_知財法務百科>企業法務大百科

「チザイ」
としては、特許や著作権や意匠権といった権利の範囲や内容や限界がクッキリ、ハッキリして、登録されて、対外的にも明瞭に権利として認識されるようなものを見てまいりました。

もちろん、一般に
「チザイ」
といえば、これら正式な権利となるようなものが代表選手ですが、ビジネスの世界においては、これらとは別に、
「権利の範囲や内容や限界がクッキリ、ハッキリして、登録されて、対外的にも明瞭に権利として認識されるようなもの」
とは言い難い、
「企業秘密」
という知的財産領域があります。

そして、現実には、この
「企業秘密」
といわれるものの方が、ボリュームとしても膨大であり、かつ、企業にとって重要性を有しています。

原子力発電は高度な技術情報の集積によって成り立っています。

当然ながら、原子力発電に関する特許は、かなりの数の技術情報が、特許あるいは実用新案として、登録され、あるいは出願されています。

特許や実用新案に関する情報がデータベース化されている
「特許電子図書館」
というサイトで
「原子力発電」
というキーワードで検索すると、同キーワードに関する技術は、特許で2866件、実用新案で55件の合計2921件みつかります。

さて、ここで、例えば、ある会社が、原子力発電所を作ろうと思い立ったとしましょう。

特許許諾云々の問題は別にして、当該会社は、特許や実用新案として公開されている技術情報だけで、原子力発電所を作ることはできるでしょうか?

答えはNOです。

まず、不可能だと思います。

こういう話の仕方をすると、
「畑中は何を言っている! 3000もの技術が公開されているんだから、これを使えば、原子力発電所くらい作れるはずじゃないか!」
とおっしゃる方が出てきそうです。

しかしながら、現実には特許や実用新案だけで原子力発電所を作るなど、夢のまた夢、といえるほど、技術情報が不足著しいのです。

何故か、というと、原子力発電所を作るには、特許や実用新案として公開されている情報“以外”の膨大な技術情報が必要だからです。

これらの技術情報群は、特許化も実用新案化もされることなく、原子力発電メーカー固有の
「門外不出のノウハウ」
として膨大な情報群として存在し、一般の目に触れることなく、日々アップデートされ、進化を遂げているものです。

おそらく、原発を作るのに必要な技術情報のすべてを100とすると、特許や実用新案として公開されるのは、そのうち0.001%にも満たない、といえるかもしれません。・・・(以下、略)

以下、ご興味のある方は、

をご高覧ください。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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