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新設分割は、吸収分割とは異なり、ある部門を切り出して新会社を設立する手法です。
社内発のベンチャー企業を作るとか、経営資源を集中させるためにある部門を切り出すといった活用場面が想定されます。
しかしながら、近年では、不採算部門を切り捨てるために用いられるケースがあり、法的トラブルになっています。
不採算部門を切り捨てるといっても、当該切り捨てられた不採算部門の譲り受けを希望するような買手はありません。
したがって、事業譲渡や吸収分割といった手法を採ることができません。
そこで、企業が会社を新設して、そこに不採算部門を移転してしまい、優良部門だけとなった自分のみが生き残ろうとする手法が取られるのです(逆に採算部門だけ分割してしまい、元の会社をもぬけの殻にしてしまうこともあります)。
このような手法が可能とされるのは、会社法上、分割の計画においてどのような資産を分割するかという点について自由に定めることが許されていることによるものです(会社法762条、763条)。
しかし、不採算部門しか残っていない会社に取り残された債権者にとっては、深刻な不利益を被ります。
そこで、このような濫用的会社分割については、民法上の詐害行為取消権の行使が認められるに至りました(最高裁平成24年10月12日判決)。
このような司法判断もあり、以上のような濫用的会社分割を禁止する法改正が検討されています(2013年8月現在)。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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