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開発委託契約書はよく読むべし_知財法務百科>企業法務大百科

企業から、顧問弁護士に対して、以下のような法律相談が持ち込まれた場合の助言方針を検討してみます。

相談者プロフィール:
株式会社松友引越便 社長 松友 等(まつとも ひとし、41歳)

相談内容:
商売の方は、ほんま、順調で、儲かってしゃーないですわ。
とはいえ、ウチの商売は、学生とか外国人とかをむっちゃ安いバイト代で使うんで、人集めんのも一苦労なんですわ。
ずーと、大阪の芳本総合アルバイトあっせんセンターちゅうところに人集めお願いしてたんですけど、何せ、マージンきつくてやってられませんねや。
ほんでインターネットで直接バイト募集しようかあちゅう話になりまして、何社かプレゼンさせて、一番プレゼンがよかった東京の大手業者にシステムやらホームページの制作やらを全部お願いすることにしたんですわ。
まあ、初期費用は高いですが、保守とか更新とかは地元の安い業者に任せればええかな、とか思てます。
業者の担当者は、定型的なもんやから適当に判子ついといてくれ、みたいな感じで渡しよったけど、昔、そんな調子でごっつ不利な契約書に判子ついてもうて、先生にえらいお世話になった経験もあるので、一応、先生に見といてもらおう思たんですわ。
それなりに値がはる取引なんで、何や注意点とか書き直す点とかあったら、あんじょう教えたってください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点:「カネを出した客より、カネをもらって仕事を請け負った職人の方がエライ」という異常な初期設定がまかり通る、知的財産権の世界
知的財産権の世界では、カネを払って開発を委託したケースにおいて、契約上開発成果物に生じた権利の帰属が明記されていないと、当該権利は、カネを払った人間ではなく、開発した業者の所有に帰すことになります。
無論、カネを払った側は少なくとも開発成果を使うくらいは許されそうです。
しかし、契約書に明記していない以上、開発成果に関する権利は業者の所有物として、業者が特許を取得しようが、その特許を委託者のライバル企業に売り渡そうが、法律上は許されることになります。
「そんなアホな」
と言われそうですが、知的財産権制度は
「知恵を出した人間が知的財産権者である」
という建前で構築されており、カネやインフラを提供した奴は部外者という扱いです。・・・(以下、略)

以下、ご興味のある方は、

をご高覧ください。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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