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人食いバクテリア 一般病棟編 中盤 (5/n)

1月10日、午前中回診に先生たちが来て、CRAPからごついチューブ2本で患部に直接注入されているゲンタマイシンという抗生剤を終了しました。この際、退院時期を医師に聞いたのですが、1か月はみてくださいとのことで、ちょっと動揺しました。仕事も有るのでそんなに長く居られる訳が無く、何か代案が有るのではと考えました。

翌1月11日、B先生が今度は極太チューブ2本抜き、陰圧を発生させるレナシスも終了しました。抜くときはそれこそギュインという恐ろしい音がし、血まみれの長いホースが出てビビりました。それで、血が出ている2つの穴にネグミンシュガーという茶色のウンコみたいな薬を載せられパッチで蓋をしました。これ以降、日に4回それぞれ1時間程度の抗生剤の点滴のみなので、大分身軽になりました。

1月13日の回診で患部の巻き直しの際に、私の方からB先生に1か月も入院出来ない、外来で毎日来るので変更して貰えませんか?家も会社も近いので、と図々しく依頼しました。又、提携先クリニック等あれば紹介してもらいたいと打診もしました。
B先生曰く、強い希望があれば全く出来ないわけじゃないが、主治医としては治療の継続性から言って未だ無理ですね、仮に退院した場合、当院では面倒見れません、と若干不機嫌な様子で返答されました。
この回診時、去り際に写真を撮ってもらいました。それがこれです。

映画"悪魔のいけにえ"のレザーフェイスの質感だな。

初めて自分の傷をみて驚きました。想像より結構長く切ってあり質感も死体の様でした。

翌日の回診はA先生でした。近藤さん!聞いたよ。帰りたくなっちゃたの?これ結構死ぬ病気で(病原菌を)倒し切ってからじゃないと危ない。だから長い正月休みだと思って焦らずゆっくりしていって、と諭されました。
私としても既に昨日のB先生とのやり取りで納得し、この若い優秀な医師達の提案に従うことにしました。

この頃の入院生活は暇でもあり同時に意外と忙しいかったです。
というのも、三食の食事の間に医師の回診とリハビリが有り、これが午前中になるか午後になるか状況によって変わり、又、それとは別に4回のそれぞれ一時間程の点滴も有るため、あまり長時間フラフラと院内を散歩が出来なく、ベッドにいなければなりません。


昼食か?美味しく健康的ではあるがパワー不足?バーガーキングに行きたい。。。

リハビリは1月5日から始まっていましたが、何せギプスシーネで腕が固められていた為、掌や肩のあたりをマッサージしてもらう様なものを平日してもらっていました。最初は正直あまり意味を見出せませんでしたが、腕のパイプを抜いてからは実践的な曲げ伸ばし(関節は固まっていて、可動域を広げる必要があるため)や、腕の筋肉のマッサージになり、又リハビリのフロアは13階の為、眺望が良く気分転換にもなりました。
リハビリの先生は50代くらいの女性で曰く、筋肉を深く手術で開いているため、癒着を防ぐためマッサージをする必要がある、と。リハビリの先生も手術のログにもアクセス出来るようで、手術の概要も教えて貰いました。

一般病棟でも何度か病室の引っ越しをし、相部屋の患者さんも頻繁に入れ替わりました。とある日、隣に新人が入り。70台前半位の社交的な老人で明るく挨拶をしてくれました。只、この方が後にこの病棟で看護師さん達を騒がせることになりました。
私がベッドで夕食を食べていると、ガバッと私のベッドのカーテンを勝手に開け、開口一番 「俺の重湯なんだけどっ!(怒)」 と私に言いに来ました。
そんなもん知らんがな、手術前だからでしょ、とは思いつつも「えっ、そうなんですか。大変ですねー」と返答しておきました。
この方はやはり手術前であり、翌日は隣のベッド上不在で1日後に戻ってきました。戻ってからもナースコールをしまくったり、パニックになって動こうとして看護師さんに怒られていました。
その翌日ですが、私がフラフラと1階のコンビニにでも行こうかとしている時、がら空きのカーテンからお腹の管を抜こうとしている(抜いている?)この老人見えてしまいました。これはいかんと、私は慌てて廊下にいる看護師さんに「大変です!隣のお父っつあんが管抜いています!」と伝えました。関係者が集まって来て、この方はナースステーションの真ん前の一人部屋に移されました。

                        -続くー
#人食いバクテリア
#壊死性筋膜炎
#劇症型溶血性レンサ球菌             

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