人食いバクテリア 病院到着から手術まで編 (2/n)
2023年12月28日
正午頃?、墨東病院の救急(ER)窓口に到着しました。
受付で電話した者で紹介状も持参した旨を伝えました。東京東部エリアでは最大の三次救急に対応した病院ですので、ERではトリアージと言って救急の優先度によって受付から診察迄の順番が変わるのは理解していましたし、瀕死の重傷者を優先してもらうのに何ら不満はありません。体調は悪いものの、この時点では未だ重症と考えておらず、また見た目上も地味な症状で脳や心臓ではないので長く待たされるのは覚悟の上でしたが、1時間くらいで診てもらうことが出来ました。
(記憶が非常に曖昧ですが)診察室に入りこれまでの経緯を説明しました。この時、診察台に寝かされ腕のぐるぐる巻きをほどきつつ、複数の先生が入れ替わり立ち替わり腕の状態を見てくれました。
皆さん若いお医者さんばかりで、なんか大学生くらいの見た目で、よくコンビニの前でたむろしてファミチキとか食べてそうな感じです。そしてみんな仲よさそうで元気溌剌としチームワークが良いです。そしてこの病院は院内の医師が輪番制で救急に対応するのではなく、救命救急センターが独立して有るため、救急専属の医師が多くいます。
包帯と吸収材を取ってもらうときに、皮膚科で埋め込んでもらった腕のドレインパイプからの液漏れと水疱が破れた箇所からの液また剥がれた皮膚がべっちゃっと吸収材と共に床に落ちました。異様などす黒い肌の色、更に増えた水疱が見え「きもっ、俺の手が腐った」と思いました。私的には衝撃映像です。
その中にその後の主治医になる救命救急センターの整形外科医のA先生が皮膚科で埋めたドレインパイプを見て「クー、いい加減だねー」と苦笑していました。
ただこれも、当初、私が皮膚科に連休中に救急に行きたくないニュアンスで相談したため、行き当たりばったりの処置になった可能性をあります。
一回寝かされて以降、そのまま立ち上がることもなく、各種検査、腕部の皮下超音波検査(マンモグラフィーみたいなやつ)、腕部及び胴体のレントゲン、MRI(CTだったかも?)、血液検査等、全て寝たままでストレッチャーに乗せられあっちこっちに行行きました。ヘリポートも屋上に持っている三次救急に対応している総合病院なので設備が超いいです。こういうのは初めて体験しました。
そのままぼーっとしていると、内科担当医に告げられました。
曰く、腎臓のクレアチニン等の数値が異常なレベルになっていて、正直状態が非常に悪いと。おしっこ出なかったでしょと言われました。要は腎不全です。ひどい腰痛や顔面の紅潮の原因もこれでした。腕の化膿や炎症で体中に毒が廻って、ろ過装置である腎臓がまず初めにパンクしたんですね。
後日聞いたのですが、CRPという炎症レベルを表す血液検査の数値が、異常に上昇していました。健常者の場合は0.3(0.3 mg/dL)、10あれば入院、退院基準値は2.5以下、30で生命の危機、ところが私は40ありました。やばいですね。
緊急手術する旨を告げられ、全身麻酔で腕を開き化膿している部分を洗浄、除去、(デブリードマンてやつ)を行うとのことです。
手術後に腕が有るか断言できない。腎臓は人工透析になる可能性がある。命に係わる、、、等説明されました。
命に係わるため、緊急で家族に連絡を取り来院してもらうよう指示され、嫁さんにLINEで電話をしましたが、出なかったので、一言”入院する”とメッセージを書きました。状況を詳細に書く体力が無かった為、余計な説明は省きました。その時、嫁さんは下の子の空手教室に自転車で送りに行ってる最中だったとのことです。
連絡してほしい連絡先を病院に聞かれたので嫁さん、実家、会社の3つ番号を伝えました。ここで電話等は全て預け、手術室にストレッチャーで運ばれました。
その後、嫁さんより折り返しの電話が直ぐ来たが、当然出れず。これ以降は病院側と嫁さんとで連絡を取ったようです。
ストレッチャーで運ばれながら、腕切断、人工透析、死亡、恐ろしい可能性に心底不安になり、目の前が真っ暗になりました・・・
・・・ということは無く、
ここに来るまでの数日間が体調的に非常に限界で、待っているときに椅子に座っているのもしんどかったので、いまストレッチャー上で寝かされているだけで幾分楽で安堵感も有りました。
又、先生たちもプロフェッショナル感があり信頼出来る感じがありましたので、どうなろうと結果に文句は付けませんのでヨロシク、出来る範囲でうまくやってくれればよい、年始なのにお手数お掛けしましてどうもすみませんと、まあまあ平常心で臨むことが出来ました。
腕の手術中に腎臓機能が低下しすぎて途中で透析になる場合に備えて、事前に首の血管から心臓までカテーテルを通すための穴をあけました。また、鎮痛剤としてフェンタニルを使用することに同意を求められました。アメリカのオピオイド問題を過去に調べていたことが有ったので、フェンタニルという薬物が何たるかは知っていて、”フェンタニル!日本でも普通に使っているんですね。同意なく使って訴訟問題とかあったの?”等思いましたが、ウザい患者と思われないよう「はいー。」と二つ返事で了承しました。
プロポ(プロポフォール、あのマイケルジャクソンが使用して有名になったヤツ) ○○○ミリグラム注入等の医師の会話が聞こえ、意識を失い眠りました。手術の始まりです。
手術中は全身麻酔で寝ている為、当然一切意識が無い、、、はずが数十秒位中途覚醒した瞬間がありました。聴覚と痛覚が働き、手術中の医師の会話が聞こえ、腕をメスでチリチリ切られている鋭い痛みの感覚がありました。「痛いです。」と申し出ようとしましたが、口も体も眼球さえもコンクリートで固められているかのようにピクリとも動かせず、その後の記憶は術後迄抜けているので、すぐにまた意識を失なったのでしょう。
ー続くー