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北海道 そして釧路の酒蔵です

 全国様々な地域に酒蔵がある。それぞれの地域のそれぞれの文化や歴史と共に変化する時代を生き抜いてきた酒蔵だ。私が勤めている福司酒造もその1つ。東北海道といわれる自然豊かで人口よりも動物が多いような地域です。北海道のイメージと異なり、冬は雪が少なく天候がいいし、夏は涼しい。食べ物もおいしく、空港があり、蔵の近くには大きな病院が2つ、学校も小学校、中学校、大学がある。私個人としては豊に住み暮らすには十分な地域です。あ!あと夕日がきれいなのでマジックアワーをもっと楽しめるシステムが欲しいと思っています老後はそうしたい(笑)

釧路市内にあるロータリー 蔵から歩いて10分くらい
クルージング中みれる海に沈む夕日

 さて、北海道の酒蔵というと多くの人は「知らない」というだろう。つい最近まで日本酒特集の雑誌で紹介される「全国の酒蔵」みたいなところに北海道の文字はなく、「東北地方」から始まっていることに悔しい思いをしてきた。北海道は自然豊かで海産物がおいしいことは知られていたが米や日本酒についてよく言われなかった時代が長い。
 近年、北海道産米の需要が上がり「おいしい」という印象が高まっている。同時に北海道での酒造好適米の開発も進み寒い地域でも安定して作れるよう今では「吟風(ぎんぷう)」「彗星(すいせい)」「きたしずく」の3種類が北海道の酒造好適米として登録されている。弊社ではこの3種類すべてを使用しているが使用米の8割近くが吟風を使用している。


北海道の地酒を知ってもらいたい

 そんな北海道の米もお酒も徐々に知られるようになってきた。道外でも北海道産米を使用したお酒を造る酒蔵もある。コロナになる前は勉強のために道外米を使用して必ず1~2本醪をたてていた。(醪を仕込み終わることを「たてる」といいます。)使っていたのは兵庫県産の山田錦の特級。あの酒米の王様と呼ばれる山田錦だ。さらに兵庫県産の特級といえば全国的にも良い産地なのだが、それでも年々品質が低下しているように感じてならなかった。一方北海道米は徐々に良くなっている。そもそものポテンシャルは山田錦の方が高いのだが品質のばらつきが大きい。
 日本酒つくりでは米質の良しあしはもちろんだが、品質の安定も重要なファクターだと思っている。年によって大きくぶれる米は扱いにくい。特に弊社のように若手がメインでデータが少ないところだとなおさらだ。
 品質のばらつきには近年の気候変動が関連していると考えていた。台風の数や規模の変化、ゲリラ豪雨、猛暑日、水不足。それらの地域ごとに昔と比較し気候が変わっていることは感じているのではないだろうか。その点北海道は米を作りやすい気候へと変化しているのであろう

https://www.env.go.jp/earth/tekiou/pamph2018_full.pdf

 『気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018 ~日本の気候変動とその影響~ 環境省 文部科学省 農林水産省 国土交通省 気象庁』に記されているコメの収穫品質への影響によると、気温の上昇によるコメの白未熟粒(高温等の障害によりデン プンが十分に詰まらず白く濁ること)や胴割粒(高温等により亀 裂が生じること)の発生等、コメの品質の低下が、既に全国で確認されています。また、一部地域や極端な高温年には収量の減少も報告されています。とあり既に米の品質の低下が確認されていることを示している。さらには、近未来(2031~2050 年)及び21世紀末(2081~2100年)には、品質の高いコメの 収量が増加する地域と減少する地域の偏りが大きくなる可能性 が予測されています。とあり今まで品質の良い米がとれた地域がそうではなくなることも視野に入れた原料米確保が必要となる。そう考えると北海道では品質のいいお米を安定的にこれからの未来では作れるようになり、今後北海道が日本を代表する酒の生産地になる可能もあると私は考えている。
 今までは日本酒業界では見向きもされなかった「北海道の酒」ブランドがこれから徐々に構築されていくのだ。というか、そうあって欲しい。

変化している北海道の酒蔵

  北海道はその広大な土地の中に2015年は11蔵でしたが2022年現在は15蔵、来年度には1蔵増える予定です。そのほとんどが道央と呼ばれる札幌近郊と道北といわれる旭川近郊に位置しています。私たち福司酒造のあるくしろは道東に位置し最も近い蔵で100kmも離れているような地域です。山手線一周の営業距離が約40kmなので2周半層との距離。それがご近所のお蔵さんなので交流も頻繁とは言えません。

「福司の蔵人は仲がいいよね」

 これはここ数年道内の酒蔵さんから言われる福司の製造部の様子を見て言っていただける言葉です。弊社の製造部は5人。うち20代は2名、30代1名、40代2名と比較的酒蔵としては若い製造部です。ここに至った理由はまた別の機会に書かせていただきますが、酒蔵の労働環境の改善も少しずつ行い「造り手の育成」をしてきました。決して余裕があったと言うわけではないのですが、人材確保を重視していたためです。北海道の端っこに酒造りがしたいだけで来てくれる人はとても貴重な存在。ここ数年間は「ヒト」を育てることに注力してきたところもあります。

これは2020年に初めて製造部でつくった動画です、『EXTREME出社』という題名で製造部全員の趣味でもある渓流釣りに行って帰ってきて仕事して飲みに行くというメチャクチャハードな動画ですが、福司で働いている人や生活を視覚化することで釧路にUターンやIターンを増やそうというコンセプトでした。この動画以外にも全部で4本の動画を作成しましたので、そちらをご覧いただけれると社員同士の交流が見えるかと思います。
 ただ単に動画を造るだけではなく、造り手の顔も見える蔵として身近に感じていただきたいのと、働いている社員にも誇りに思ってほしいと思い造りました。動画はほぼ遊びのような部分ですが、仕事をしているときは真剣です。常に新しいことにチャレンジし、おいしい酒を造って、たくさんの人に自分たちのお酒の良さを知って欲しいと思っています。今シーズンは山廃に初めて挑戦しました。全国的に見れば今更山廃に挑戦って・・・と思われるかもしれませんが、弊社の歴史の中では大きな一歩思っています。これについても別の機会にお話しさせてください。
 まだnoteの使い方がわかっていませんが、徐々に慣れていけたらと思います。同業者の方、そして日本酒の好きな方とつながりを持てたらと思っております。

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