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神経発達症の子どもに多い失体感症とは?

あなたは「失体感症」という言葉は聞いたことがあるでしょうか?
子どもの発達において最も重要なこの体の感覚!
もし、あなたのお子さまが自分の体を感じることができていなかったとしたら、果たして脳は成長するでしょうか?
正しく発達の道を辿れるでしょか?
今回は【失体感症】について説明していきたいと思います。


1:はじめに

失体感症とは

失体感症(プロプライオセプション障害)は、体の位置や動きを正確に感じ取る能力が低下する状態を指します。これにより、日常生活での動作やバランスが難しくなり、特に神経発達症の子どもに多く見られます。

私たちの体は、筋肉や関節、皮膚にある受容体(プロプライオセプター)を通じて、自分の体がどこにあり、どのように動いているかを常に感じ取っています。しかし、失体感症ではこれらの情報がうまく処理されないため、以下のような症状が現れます:

  • 動作のぎこちなさ:運動がスムーズにできず、動作が不自然になることがあります。

  • バランスの問題:立ったり歩いたりする際に、バランスを保つのが難しくなります。

  • 運動のタイミングのズレ:手や足の動きを意図したタイミングでコントロールできないことがあります。

  • 力加減の不調:物を持つ際に、適切な力加減ができず、物を落としたり壊したりすることがあります。

  • 空間認識の困難:自分の体の位置や他の物との距離感を正確に把握できないことがあります。

特に、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの神経発達症を持つ子どもは、失体感症のリスクが高いです。これらの障害を持つ子どもは、脳と体の連携がうまくいかず、結果として運動やバランスに問題が生じます。

失体感症は、日常生活に大きな影響を与えます。例えば、衣服を着る、食事をする、遊ぶといった基本的な動作が困難になることがあります。運動能力が低下するため、スポーツや遊びに積極的に参加できず、社会的な孤立を感じることもあります。

神経発達症と失体感症の関連性

神経発達症と失体感症は密接に関連しています。神経発達症とは、脳の発達に影響を与える一連の障害のことを指し、代表的なものに自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)があります。これらの障害を持つ子どもたちは、失体感症を伴うことが多く、これが日常生活に様々な困難をもたらす原因となっています。

神経発達症との関連性 神経発達症の子どもたちは、脳の一部が正常に発達しないため、体の感覚や動きを適切に管理することが難しくなります。例えば、自閉スペクトラム症の子どもは、感覚処理の異常が原因で、環境からの刺激に過敏または鈍感になることがあります。これにより、体の位置感覚が狂いやすくなり、失体感症の症状が現れます。

注意欠陥・多動性障害の子どもも同様に、集中力の欠如や衝動的な行動が原因で、自分の体の動きを適切にコントロールするのが難しい場合があります。これが失体感症のリスクを高める要因となります。

日常生活への影響 失体感症を持つ子どもは、日常生活でさまざまな困難に直面します。例えば、衣服を着る、食事をする、遊ぶといった基本的な動作が難しくなります。また、運動能力が低下するため、スポーツや遊びに積極的に参加できず、社会的な孤立を感じることもあります。

2:失体感症の症状と特徴

失体感症の主な症状

失体感症は、体の位置や動きを正確に感じ取る能力が低下する状態で、以下のような症状が見られます:

  1. 動作のぎこちなさ:運動がスムーズにできず、動作が不自然になります。例えば、歩く際に足を引きずったり、物を持つときに力加減が難しいことがあります。

  2. バランスの問題:立ったり歩いたりする際に、バランスを保つのが難しくなります。これにより、頻繁に転倒したり、ふらついたりすることが増えます。

  3. 運動のタイミングのズレ:手や足の動きを意図したタイミングでコントロールできないことがあります。例えば、ボールを投げたりキャッチするのが苦手になることがあります。

  4. 力加減の不調:物を持つ際に、適切な力加減ができず、物を落としたり壊したりすることがあります。これは、ペンを持つ力が強すぎたり、弱すぎたりする場合にも見られます。

  5. 空間認識の困難:自分の体の位置や他の物との距離感を正確に把握できないことがあります。例えば、ドア枠にぶつかったり、机の角に体をぶつけたりすることが増えます。

日常生活での具体的な影響

失体感症の症状は、日常生活にさまざまな影響を与えます。以下にその具体例を挙げます:

  1. 衣服を着るのが難しい:ボタンを留めたり、靴ひもを結ぶといった細かい動作が難しくなります。また、服を裏返しに着たり、袖を通すのに時間がかかることがあります。

  2. 食事がしづらい:フォークやスプーンを使って食べ物を口に運ぶ動作がぎこちなくなります。食べ物をこぼしやすく、適切な量を掴むのが難しいことがあります。

  3. 遊びやスポーツへの参加が困難:運動能力が低下するため、友達と一緒に遊んだりスポーツに参加するのが難しくなります。これにより、社会的な孤立を感じることが増えるかもしれません。

  4. 学習活動への影響:教室での活動や学習にも影響が出ます。例えば、黒板に書かれた文字を写すのが遅かったり、筆記用具をうまく使えなかったりします。

  5. 全般的な自信の低下:失体感症の症状により、子どもは自己評価が低くなりがちです。何度も失敗を繰り返すことで、自信を失い、チャレンジする意欲が低下することがあります。

3:神経発達症の子どもにおける失体感症の原因

神経発達症の子どもに多く見られる失体感症の原因は、神経発達のメカニズムに深く関わっています。ここでは、そのメカニズムと失体感症が発生する仕組みについて説明します。

神経発達のメカニズム

神経発達は、胎児期から幼児期にかけて、脳や神経系が成長し、複雑な機能を持つようになる過程です。この過程では、ニューロン(神経細胞)の形成、シナプス(神経接合部)の形成、神経回路の配線などが行われます。この発達過程が順調に進むことで、私たちは適切な感覚処理や運動制御を行えるようになります。

しかし、神経発達症の子どもでは、このプロセスに何らかの異常が生じることがあります。例えば、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)の子どもは、脳の特定の領域が正常に発達しないことがあり、これが感覚処理や運動制御の問題を引き起こします。

失体感症が発生する仕組み

失体感症は、体の位置や動きを感じ取るプロセスに障害が生じることで発生します。具体的には、以下のような仕組みがあります:

  1. 感覚情報の受容と伝達の障害

    • 体の位置や動きを感知するプロプライオセプター(受容体)が正しく機能しない場合、脳に送られる感覚情報が不完全または誤ったものになります。これにより、脳は体の正確な位置や動きを把握できなくなります。

  2. 脳の情報処理の問題

    • 神経発達症の子どもでは、感覚情報を処理する脳の領域(感覚野や運動野)がうまく機能しないことがあります。これにより、受け取った感覚情報を適切に解釈し、反応を調整することが難しくなります。

  3. 神経回路の異常

    • 神経発達症の子どもは、ニューロン間の接続や神経回路の形成に異常があることが多いです。これにより、感覚情報が脳内で正確に伝達されず、運動制御が不適切になることがあります。

  4. 遺伝的要因

    • 遺伝的な要因も失体感症の発生に関与しています。神経発達症の子どもは、感覚処理や運動制御に関与する遺伝子に異常があることが多く、これが失体感症のリスクを高めます。

4:家庭でできるサポート

失体感症の子どもをサポートするために、家庭でできることは多くあります。親や家族の役割は非常に重要であり、効果的なサポート方法とアクティビティを通じて、子どもの成長と発達を助けることができます。

親や家族の役割

  • 理解と共感

    • まず、子どもの状態を理解し、共感することが大切です。失体感症がどのように子どもの生活に影響を与えるかを理解することで、適切なサポートを提供する基盤ができます。

  • 一貫性のあるルーティン

    • 日常生活の中で一貫したルーティンを作ることは、子どもに安心感を与えます。食事、寝る時間、遊びの時間など、規則正しいスケジュールを維持することで、子どもの不安を減らし、集中力を高めることができます。

  • 前向きな環境の提供

    • 子どもが挑戦し、成功体験を積めるような前向きな環境を提供しましょう。失敗しても励まし、成功を共に喜ぶことで、子どもの自信を育てることができます。

効果的なサポート方法とアクティビティ

  1. 感覚統合療法

    • 感覚統合療法は、失体感症の子どもに特に効果的です。家で簡単にできる方法として、バランスボードやトランポリンで遊ぶ、砂場や粘土で触覚を刺激するなどの活動があります。これらの活動は、感覚の統合を助け、運動能力を向上させます。

  2. 運動とストレッチ

    • 適度な運動やストレッチは、子どもの体の感覚を高め、筋力を強化します。親子で一緒にヨガや簡単な体操を行うことは、楽しい時間を共有しながら、子どもの体感覚を鍛える良い方法です。

  3. 家庭での作業療法

    • 日常の家事を手伝わせることも効果的です。例えば、食卓の準備や片付け、洗濯物をたたむなど、手先を使う活動は、細かい動作の練習になります。

  4. ゲームやパズル

    • 手先の器用さを養うために、ブロック遊びやパズル、手作りのクラフト活動を取り入れましょう。これらの活動は、子どもの集中力と問題解決能力を高めます。

  5. リラックス時間の確保

    • 子どもがリラックスできる時間を確保することも重要です。穏やかな音楽を聴いたり、静かな場所で絵本を読んだりすることで、子どものストレスを軽減し、心身のバランスを整えることができます。

まとめ

失体感症は、体の位置や動きを正確に感じ取る能力が低下する状態であり、特に神経発達症の子どもに多く見られます。この状態は、日常生活での動作やバランスに大きな影響を与えるため、親や家族の理解とサポートが非常に重要です。

失体感症の子どもは、動作がぎこちなくなったり、バランスを保つのが難しくなったりします。これにより、日常生活のさまざまな場面で困難を感じることが多いです。例えば、衣服の着脱や食事、遊び、学習活動などでの不便さが挙げられます。これらの困難を乗り越えるためには、家庭での適切なサポートが欠かせません。

親や家族は、まず子どもの状態を理解し、共感することが重要です。一貫性のあるルーティンを作り、前向きな環境を提供することで、子どもに安心感を与え、自信を育てることができます。さらに、感覚統合療法や運動、家庭での作業療法を取り入れることで、子どもの感覚統合能力や運動能力を向上させることができます。

失体感症と神経発達症の関連性を理解し、適切な支援を提供することで、子どもたちの生活の質を向上させることができます。親や家族の愛情とサポートが、子どもたちの成長と発達に大きな影響を与えることを忘れないでください。家庭での取り組みを通じて、子どもたちがより自信を持ち、充実した生活を送れるように支援していきましょう。

日本神経発達改善専門協会の見解

いかがだったでしょうか?
心当たりがある親御さまは多いいのではないでしょうか?
この失体感症は、神経発達との関連を理解していただけのではないでしょうか?
お子さまが失体感症になる原因は当協会では、赤ちゃん時期からの神経発達と紐づけています。そして、この失体感症のお子さまは鈍麻という扱いだったり、身体図式の未発達とも繋がっていると考えればあなたのお子さまの問題ASDやADHDやLDなどという診断ではなく、発達の抜け(脳機能の未構築)なだけと仮定して、この未構築をしっかり構築してあげれば改善できるという理由になりませんか?

それが事実、当協会で知的障害や自閉症の診断が出たお子さま達が、診断が外れてきている理由だとしたら、子どもの未来を奪わないで生きやすい人生をプレゼントできると思いませんか?

これらの改善には、明確な手順があります。
闇雲に、トランポリンを飛ぼうやバランスボードに乗ろうなど、お子さまに合っているかどうかも分からないアプローチはせずに、子どもは発達の抜けを埋めると自ずとやり出すという、私たち人間に備わっている機能を向上させるだけで良いのです。

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