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香りを纏う

 就職祝いにおばから香水をもらった。
おばと言っても、12歳しか離れていないお姉ちゃんみたいなおばだった。
すごく綺麗で、私が小さい時、少しの間、一緒に住んでいて、その頃おばは、デパートのエスカレーター(エレベーター)ガールだった。(歴史!)
その香水は、私にはついに着こなせなかったのだけど、その贈り物は、大人になった証みたいなものだった。資生堂のスーリールという香水だった。

 就職して、とてもお世話になった2歳年上の秘書をしていた先輩がある日、とても魅惑的な香水を纏っていた。Diorのプワゾン。プワゾン(毒)というネーミングも魅惑的だけど、その個性的な香りに大人の世界をかいまみたような気がしたものだ。


 それから憧れはあるものの、香水にハマる間もなく、二十歳で妊娠、結婚、出産。2人目を妊娠し、仕事を辞職して専業主婦に。おしゃれを楽しむ余裕もなく、Tシャツ、ジーパン、日焼け止めも塗らずに公園で子どもたちと走ってた。三人目を産んで、下の子が3歳の時に再就職。30歳だった。

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 再就職した時に出会ったのが、ランコムのトレゾア(写真左)。甘い匂いに惹かれて、新しい仕事と家庭の両立に四苦八苦している私を癒してくれた。何本もリピートするくらいのお気に入り。2003年に初めて、妹の結婚式に出席するために初海外!ドキドキしながら免税店でもトレゾア買ったなぁ。

 それから香りにハマるんだけど、香りは好きでも、自分に似合うかどうか、着こなせるかどうかは別な話。香水は出会いだ。

 家族でキャンプに行くようになったある時。田舎のキャンプ場で、あの香りがした!Diorのプワゾン!!
受付のおばさんが纏っていたのだけど、ものすごく着こなしていた。香水とは、こう纏うのだということを、田舎のキャンプ場で知るなんて!
きっと東京で長い間暮らしていて、訳あって地元に戻ってきたのだろうと想像させられるエレガントな後ろ姿や立ち居振る舞い。香水とは、あのように纏うのだと学んだ。一体感があって、まったく邪魔にならない。その人の一部みたいになっていて、奥にある魅力を醸し出すように。

トレゾアは、初めてその一体感を感じた。そういう出会いは貴重だ。

その後、Diorのジャドールにハマり(写真右)。今でも愛用している。冬でも夏でも楽しめる香り。どうしても甘くて濃厚な香りが好きだから、真夏は、どの香水にしようか、毎年悩んでしまう。

そして、夏といえばコレ!というのが、HERMESのナイルの庭(左から2番目)。爽やかで清々しい香りは、暑い夏をより一層好きにさせる。

最近、好きなのは、Le Laboの都市シリーズ限定の「パリ」(vanille44:写真右から2番目)。甘さはあるけど、甘ったるくない深みのある大人のカッコいいエロス。

 香りの好みが変わる時は、自分の変化の時。そんな時に、新たな香水との出会いがあるとなんだか運命に味方されているみたいな気持ちになる。何度も言うけど、香りは好きでも、自分に似合うか、着こなせるかは別な話だから。

 昔、好きだった香水も、自分を後押ししてくれるように感じることもあるし、香りは奥深い。他にも愛用している香水はあるけれど、また別な機会に。

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