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天職を手放す

 鈴木おさむ著「仕事の辞め方」を読了。第一線で激走してきた天才が、天職を手放す。凄いとしか言葉が見つからない。
 例え、天職じゃなくても、長年勤めていると知らず知らずのうちに自分が「老害」(わかりやすい老害より「ソフト老害」に氣をつけるとか!)になってしまうことなど、誰にでも氣づきのある一冊。丁寧に丁寧に仕事を辞める教科書のよう。人と関わり、影響が大きくなればなるほど、辞める影響は大きく及ぶ。第一人者の苦悩は如何ばかりかと思う。成功し、数字が付いてきて、評価されても、心が愉しくない。その自分に正直になること。いや、マジですごいと思う。

 私は、「天職を手放す」ことについて、深く考えさせられた。20年前に心理カウンセラーになった時、これが私の天職だと思えた。紆余曲折、波乱万丈にも、今も続けていることは奇跡だと思う。奇跡の連続が今に繋がっているのだと思う。20年という節目に来て、私も、心理カウンセラーを辞めるという選択肢が見えることがある。私にとって一大事のようで、私の心一つで決められることだ。しばらく前に心理カウンセラーという肩書きに違和感を感じるようになっている。もうなんの枠も合わない。ただ、なんの肩書きもないひとりの人。好きなことをしているひとり。それでいい感じだ。仕事もおかげさまでオファーをいただき、やらせてもらうことがほとんどになった。それって、すごい有難いこと!!たまに降りてくるインスピレーションによって発信することもあるけれど、それも何となくオファーっぽい。私はオファーを受けた時に心身共に健康でいられるよう整えることが本業みたいになっている。それ、普通だな。普通のことだな。だけど、その普通を後回しにしてきた感がある。自分を大切にするという、普通のことが大事なんだな、しみじみ思う。仕事が大好きで、何をやっても、何を見ても、何を聞いても自分の仕事と私の人生がリンクするという奇跡の中で生かされて、感謝が溢れる日常に、しっかり自分を整えることという当たり前のことを大事にする。

 鈴木おさむ氏の天職を手放すことに心から尊敬するし、応援できるし、なんだかワクワクする。きっと、やることが違っても彼は彼にしか生み出せないことを生み出す。辞め方に仕事の仕方が垣間見える。いつだって、何をしている時も、しない時も、始める時も、辞める時も、自分らしさが現れる。また奥様との深い信頼、夫婦愛を感じ、理解ある人々に恵まれたこともまた彼の在り方にあるだろうと感じた。

 ここまで書いて、私はもう「何をするか」に執着していることがほとんどなくなっているんだと氣づく。これを成し遂げずに死ねない!みたいなことがないのは、幸せなことだけれど、同時にそれはちょっと寂しい。だけど、だからこそ、面白っ!ということをしようと思う。面白いと思えることしかしていないのは、そういうことかと自分で納得してしまった。まだ心の中にある「いや、まだでしょ!」という自分と共に、しつこく、面白いと思うことをして、しつこく、心震わせて、感動して生きようと思う。

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朝水久美子
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